第13回みんなの尼崎大学オープンキャンパス@田能資料館

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土器土器(ドキドキ)!弥生時代ぐらし〜!という軽妙なフレーズが聞こえてきそうな今回のみんなの尼崎大学オープンキャンパス。

会場となったのは「田能(たの)資料館」。この資料館は、田能遺跡の上に建てられた施設で、弥生時代の土器や装飾品などを展示している場所です。


弥生人!あらわる!?

今回は、参加者みんなで弥生時代の衣装である貫頭衣に身を包み、2時間半の弥生時代へのタイムトリップのはじまりです。

と、その前に実は、関心のある方は遠足気分で阪急園田駅から歩いてみよう!ということで、イベント開始時間の1時間半前に駅に集合。そこから会場まで遠足気分で歩きます。


まだ疲れていない時の写真です

ですが、この道のりが結構大変。「なぜ、公共交通機関を使わなかったのか」という自責の念に駆られながら、結局50分ほど歩き続け、会場まで到着します。すでに、やや疲れ気味。(その後、お昼ごはんを食べてパワー回復しました。)

みんなの尼崎大学オープンキャンパスは、いつも第一部と第二部に分けて内容を進めています。


「弥生人の絵か?」いよいよ弥生時代のムラへ潜入!

第一部は、訪問する施設や団体の取り組みのお話を聞く時間、第二部は、施設や団体から出されたテーマ、あるいは参加者から出されたテーマに沿ってグループセッションを行う時間です。

今回の「田能資料館」編の第一部は、職員の竹原さんによる資料館の概要説明からはじまりました。


左奥の方が今回の話題提供をしてくださった竹原さん 独特の雰囲気で参加者のハートを掴みます

昭和45年に開館した田能資料館では、常設展や特別展などを通じて、遺跡や歴史を身近に感じてもらう取り組みをされています。

色々なお話を聞く中で、特に印象的だったのは、遺跡の整備にまつわる様々な物語。

田能資料館のある場所は、もともと配水場として工事が進められていました。その工事の最中に、大量の土器や弥生人とともに、墓が見つかります。

発掘に携わる調査員が足りなかったことから、田能遺跡の調査責任者の方が考古学の学会で呼びかけを行い、全国から考古学の研究者や学生が駆けつけたそう。しかし、調査の横でブルドーザーやトラックが土器をふみつぶしていきました。

「弥生人発見!」の報道に、市民が遺跡に押し寄せました。毎日のように見学に来る市民の中には、寒い日や暑い日、雨の日にも懸命に調査をする若い考古学の調査員に、心を奪われた人もいました。市民たちは、差し入れや炊き出しをして、若い調査員を支えはじめます。こうして仲良くなった調査員と市民たちは、「遺跡を残したい!」と保存運動を始めます。

市民たちが、田能遺跡保存の署名を呼びかけると、みるみる支援の輪が広がっていきました。ついには、国を動かして結果的に田能遺跡を残すという判断が下されました。


弥生時代に想いを馳せながら熱弁される竹原さん

運動する市民たちの中には、子どもたちのお父さん、お母さんの姿がありました。彼らは「公害で評判がよくなかった尼崎のイメージを変えたい。保存運動によって、文化を守る人々がいるまちであることを伝えたい。そうして、子どもたちが誇れるようなまちにしていきたい」との思いで奮闘したのでした。

「自分にも何かできることはないか」、「歴史や遺跡のことはよくわからないけど、がんばっている若者の応援がしたい」。そういう尼崎市民のひたむきな想いが「田能資料館」の根底に流れているとお聞きして、なんだか誇らしい気持ちになりました。

その後は、遺跡内をツアー。復元住居にみんなで入ってみてお話しを聞いたり、土器を実際に触ってみて弥生時代を感じてみたり。小学校の遠足を思い出しましたが、大人になった今の方がしっかりと楽しめたように思います。


館内には弥生時代のくらしの道具がたくさん

竪穴式住居の中にも入りました ここでも竹原さんが面白い動きで参加者を楽しませてくださいます

第二部では、田能資料館から出されたテーマや、参加者から出たテーマについてみんなで語り合います。

「資料館にたくさんの人に来てもらうには?」「“守る”ということについてみんなで考えたい」など、いくつかのテーマに沿って対話を深めました。


弥生時代、ムラの話し合いはこのような感じだったのかもしれません

非常に興味深いお話しをたくさん聞くことができた今回。次回のオープンキャンパスもさらに楽しみになりました。

※みなさんが着ているのは「貫頭衣」という弥生時代の服装です。私服ではありませんので、ご了承くださいませ。

(文・みんなの尼崎大学事務局 藤本)







募集案内(イベントは終了しています)

■日時
2017年11月19日(日)13:00~15:30(12時半受付開始)
およそ1時間の遠足コースもあり(11:30にお弁当持参で阪急園田駅改札集合)

■場所
田能資料館 尼崎市田能6-5-1

■内容
およそ50年前に発掘され「日本のツタンカーメン」と全国から注目を浴びた尼崎の「田能(たの)遺跡」。当時他の遺跡には例のない貴重な装飾品が出土し、弥生時代の謎を解くヒントを与えてくれました。復元された竪穴住居に入ったり、当時の土器や石器に触れたりしながら、弥生人の知恵や工夫を学びましょう。

■参加費
無料

■持ち物
筆記用具

■定員
30名程度

■申し込み・問い合わせ
尼崎市役所 尼崎大学・学びと育ち研究担当
Tel:06-4950-0387 Fax:06-4950-0173
Email:ama-ucma@city.amagasaki.hyogo.jp