「100年かけて森をつくろう」と、2002年3月に策定された「尼崎21世紀の森構想」を掲げ整備が進む尼崎臨海エリア。このエリアにいち早く注目し、水陸を自在に楽しむかっこいい大人がいると聞いて週末の1日に密着しました。
まずは芝生で腹ごしらえ。
今回、案内してくださるのは、塚口で会社を経営する岸本幸三さん。尼崎のバーで意気投合して以来の遊び友達、馬場聡史さんとヨガインストラクターの吉識あゆ子さんも一緒です。ある晴天の土曜日、岸本さんたちが指定した集合場所は、尼崎の森中央緑地の芝生広場。甲子園球場よりも大きな芝生の先には海が続き、太陽に照らされて水面がキラキラ輝く様子に、早くもテンションが上がります。「まずは軽く腹ごしらえしましょう」と岸本さんが用意してくれていたサンドイッチを芝生の上で頬張って、エネルギーをしっかりチャージ。
気持ちよく汗を流そう。ノルディックウォーキングで有酸素運動
広大な芝生広場ならではのお楽しみは、近年日本でも注目が高まっているノルディックウォーキング。岸本さんが始めたのは約2年前、奥様と一緒に楽しめるスポーツを探していたときに出会いました。まずは、初心者の吉識さんに簡単なレクチャー。専用ポールは身長に合わせて調整し、ポールで地面を突いた時の反動を利用してリズムよく歩きます。「背筋がスッと伸びているのが分かる」と吉識さん。自然と腕の振りも大きくなり、歩き姿がより美しくなっています。
元々トレーニングとして開発されたスポーツだけあり、運動効果も抜群、すぐに汗がにじみ始めます。「走るのは大変だけど、ウォーキングでは物足りない方におすすめ」と岸本さん。広場内なら車やほかの歩行者を気にすることなく、何人か誘い合って歩くのも楽しそう。海辺ならではの開放感もたまりません。
あまがさきテクノランドでゴルフの醍醐味に触れる
ヨガのレッスンがある吉識さんと別れ、次に向かったのは、充実した設備を誇るゴルフ練習場「あまがさきテクノランド」。今、岸本さんが最も夢中になっているのが3年前から本格的に始めたゴルフです。週に1度はコースを回るという岸本さん、尼崎市は阪神間の中でもゴルフ練習場が多く、時間を見つけてはすぐに練習ができる環境も気に入っています。岸本さんに誘われるようになって、馬場さんもクラブを握る機会が増えました。
今日の目的は、アプローチ(グリーン周りからカップに寄せるためのショット)の練習。ここは、全国でも珍しい天然芝のパターやアプローチ専用練習場があり、熱心なゴルフファンが集まります。1打ずつ感覚を確かめ合いながら交互に打ち合う姿は、地味ですがとても楽しそう。岸本さんにとってゴルフの醍醐味は「情報と経験によって蓄積されたデータを元に、状況に応じた判断が求められるところ」。曰く「試してみたいことが次々出てくる」ところに会社経営と共通する面白さがあるようです。
尼崎臨海エリアを縦横無尽、SUPで水上さんぽ。
最後の目的地は、2013年にオープンした世界初の水質浄化施設「北堀キャナルベース」。ここでは、現在人気上昇中のSUP(Stand Up Paddle)にチャレンジ。尼崎運河でSUPを始めるようになったきっかけは、「尼崎運河博覧会(通称、うんぱく)」。尼崎運河に親しんでもらおうと、さまざまな企画を提案してきましたが、「もっと自分たちが主体的に関われて楽しめることがしたい」と、当時まだ馴染みの薄かったSUPに目をつけました。
初めて尼崎運河に着水したのは2011年。水の上を散歩する独特の感覚に魅了されます。2013年からは月に1度のレッスンも開始し、SUPの魅力を広める機会をつくっています。岸本さんと共にSUPの指導にも当たるという馬場さんは「アクティブな岸本さんに引っ張られて、遊びでつながっている関係が心地よい」と笑います。
地上からは見えない、裏側の尼崎。住み慣れた尼崎の風景も違って見えそうです。橋の下をくぐってみたり、のんびり漕いで流れる景色を楽しんだり、ちょっと遠くまで漕ぎ出してみたり。近場で非日常を味わうことができる絶好の遊びと言えそうです。
取材を終えて
この日、岸本さんたちが紹介してくれた臨海エリアの過ごし方は、明日からでも始めてみたくなるものばかり。その最大の共通点は初心者でも最初から楽しめるハードルの低さ。海辺のロケーションを存分に生かしてどれから挑戦してみますか。
※尼崎運河について(市役所/外部リンク)