3月27日(土)は、緊急事態宣言で延期になっていた「ぶらり尼崎ツアー」を開催しました。青い空に桜が映える最高の天気で、市内を3コースに別れて巡った様子を写真とともにご紹介します。
2日連続企画の1日目「オトナの尼崎学」はこちらから
尼崎は見どころいっぱい!
今回は、さまざまな活動に取り組むまちのプレイヤーの話を聞きながら、市内をぐるっと巡る「ぶらり尼崎ツアー」。ルート①は、尼崎の南部を堪能するコースです。阪神尼崎駅近くにある中央商店街と杭瀬中市場との違いを体感したり、魚つり公園を訪れて武庫川河口で採れた魚を試食したりと、尼崎南部を満喫しました。
開明庁舎→尼崎城
まずは2019年に完成した尼崎城を訪問。敷地の前では、みんなの尼崎大学プラモ部が作った「しゃちほこ」プラモデルをモデルにした像がポストの上で出迎えてくれます。4階建ての尼崎城ですが、今回は1階の無料エリアだけ見学。ここでは、尼崎の成り立ちや尼崎城の歴史を学ぶことができます。
尼崎城→寺町
みんなで歩いていると、道すがらある物を紹介してくれる参加者も。まさに「みんながセンセイ、みんなが生徒」の尼崎大学のキャッチフレーズ通りですね。
寺町→中央商店街
尼崎城の次は寺町を通りながら尼崎中央商店街へ。法華宗の本山の一つである本興寺(ほんこうじ)にはお坊さんの学校があったり、廣徳寺(こうとくじ)には豊臣秀吉が明智軍から逃げる際に、僧に化けて味噌を擦っていた(想像するとシュールですね)という「秀吉味噌擦り伝説」が残っていたりと、新しい発見がありました。
中央商店街から三和本通商店街までぶらぶら歩く途中で「枡千」に寄り道。江戸時代の創業から160年以上続く練り物専門店のイチオシは、きくらげたっぷりの白天と歯応え抜群のごぼう天。大きなガラス越しに製造の様子も見ることができます。
冷めても美味しい天ぷら屋の「日新天ぷら店」では、3代目の鶴留さんからまちの紹介を。「三和本通商店街では自転車マナーの向上のため、頭にピンポン球を乗せて、どれだけ華麗に自転車を押せるか競う『押しチャリンピック』という大会を開いているんですよ」と教えてくれました。
昼食はおしゃべりしないよう、それぞれ商店街で気になった店に分かれてとりました。
阪神尼崎駅→杭瀬中市場
次は阪神電車に乗って杭瀬駅近くの杭瀬中市場に向かいます。この地域はシャッターを下ろす店が増加するという危機に直面。若者の力で新しいお店を開店したり移住者を増やしたりとさまざまな取り組みに力を入れています。
古本屋「二号店」は、手作りで壁を塗ったり本箱を作ったりとたくさんの人が関わりながら数日前に開店したばかり。店番もテレワークをする人や子ども連れの親子、地域のおばあちゃんなど、みんなで運営しています。
そんな取り組みを進めるのは、杭瀬まちなか再生協議会の石原さん。「もっこす亭」というお惣菜屋を営んでいる石原さんですが、隣の店舗が閉店すると聞き、少しでもシャッターを開けようと「市場食堂」をオープン。「杭瀬中市場は昨年火災がありましたが、皆さんのおかげで復興を遂げつつあり新しい店を続々と開店しているので、これからも応援お願いします」と話します。
他にも台湾料理の「好吃食堂」やパン屋「そのまま」、コールドプレスジュースも飲める「AMAサラダ」など見どころいっぱいです。2018年2月に開いた、杭瀬中市場でのオープンキャンパスのレポートもぜひご覧ください。⇒こちら
杭瀬中市場→魚つり公園
ここからバスに乗って向かったのは、尼崎の最南端「魚つり公園」。ここで釣り人向けに渡船業を営む武庫川渡船の宮本さんは「尼崎の海はきれいになって、今では魚にとってはきれいすぎるくらいなんです。昨年からは下水処理場の基準をゆるめて、栄養分を残すようになっています」と紹介してくれました。宮本さんは釣り人が釣った魚を、ボランティアで市内の子ども食堂に届けています。
今回はスズキとチヌのお刺身を試食させてもらいました。参加者からは「生魚は苦手だったけど、これはおいしい!」や「買って帰れたらいいのに」などの声が。尼崎の海について詳しく知りたい人は、2019年7月に開いたオープンキャンパスのレポートもご覧くださいね。⇒こちら
その後はみなさんお待ちかねのクルージング。海から見ると大阪が近く、港まちとして栄えた尼崎が想像できます。「船に乗りたかったのでよかったです。海から尼崎を見る貴重な体験ができました」と参加者は感激していました。
地域の居場所づくりを知る
ルート②は、杭瀬中市場までルート①と一緒に行動し、阪神バスで上坂部まで移動。そこで地域の居場所づくりを行う「ポノポノプレイス」と、「カリー寺」などの企画をしている「西正寺(さいしょうじ)」を訪問し、まちに開かれた居場所についてお話を聞きました。
杭瀬中市場→ポノポノプレイス
「ポノポノプレイス」は、子どもとママの居場所「ひだまり」からはじまり、元保育士の吹野さんを中心に2016年に立ち上がった一般社団法人です。託児や一時預かり事業、子ども食堂、多世代交流拠点とどんどん広がり、現在は4ヵ所を運営。「市の委託や助成を受けながら、スタッフはほぼボランティアで運営しています。ここを利用していたママが、社会復帰のステップとしてスタッフをしてくれているんですよ」と吹野さん。家でも学校でもない居場所は、子どもが弱音をこぼしたり、ママが子育ての悩みを打ち明けたりするために必要だと話します。
参加者も「説明くださったようなことはテレビで見たことがあるが、直接話を聞いて知らないことばかりでした」と興味を示します。ポノポノプレイスのウェブサイトはこちら
ポノポノプレイス→西正寺
次はポノポノプレイスのすぐご近所の西正寺で、地域にお寺を開いてさまざまな活動をする中平さんの話を聞きました。お寺というと少し敷居の高いイメージがあるかもしれませんが、西正寺ではお寺を掃除してみんなで朝ごはんを食べる企画や、カレーを食べるイベント、タイの看取り文化を学ぶイベントなど、「お寺でやってみたい」企画が次々と持ち込まれ実現しています。ここで出会った人が新しい企画を作ったり、また違う場所でイベントを開いたりと予期せぬ化学反応も起こっているそう。
「お寺は住職・僧侶の持ち物ではありません。これまでお寺を大事に守ってこられた人たちからの預かりものです。地域とのつながりの中で、休みの日にふらっと親子連れが遊びに来たり、居場所として認識されるようになってきました。そういうお寺になっていけたらうれしいです」と中平さん。参加者は「こんなお寺があるとは知らなかった。お寺のイメージが変わりました」と驚いていました。
園田の福祉事情に触れる
ルート③は、ホームホスピスや障がいのある人が共同で暮らしているグループホーム、コミュニティスペースなどを見学し、園田の福祉事情に触れるコースです。
まずはJR尼崎駅近くの「あまがさきキューズモール」を訪問。キューズモールでは現在、尼崎で活動している人たちと一緒にキューズモールを会場とした企画を考えたいと思っているそう。参加者の一人は「ここで障害福祉に関するイベントをやってみたい」と興味津々。キューズモールの担当者も「みなさん積極的で驚きました」と話していました。
キューズモール→natural marche HareBare
次はキューズモール近くの「natural marche HareBare」へ。ここは有機肥料屋が展開するおしゃれな八百屋さんで、お食事もできます。販売している野菜と無添加の調味料で作るランチもあり、「今日はこのランチを楽しみにきました!」と話す参加者もいるほど。みんなで旬野菜のせいろ蒸しとカレーをいただきました。ランチの対応に追われて残念ながら店主の安保さんのお話をお聞きすることはできませんでしたが、参加者のみなさんからは「また来ますね!」とのお声が。
優しい参加者のみなさんに囲まれて、お店を後にします。
JR尼崎→阪急園田
ランチの後は阪神バスで園田に移動。NPO法人サニーサイドの松村さんとホームホスピス愛逢の家の西山さんと合流し、園田のまちを案内していただきました。
「愛逢の家」は終末期の住人さんが普通に暮らし、安心して最期まで過ごす場所になっています。「訪れる方から『実家みたい』と言われることがよくある」と管理者の西山さんは話します。
そして、愛逢の家の向かいにある「ほっこり庵」に移動。障がいのある方のグループホームで、NPO法人サニーサイドが運営するこの場所では、数名の方が共同で生活をされています。次に障がいのある方へのヘルパー派遣をしている「NPO法人月と風と」の事務所も少しだけ見学しました。興味のある方はウェブサイトもご確認ください。⇒こちら
最後に園田駅前にあるコミュニティスペース「hinata」を訪問して、松村さんと西山さん、「NPO法人月と風と」の清田さんから、園田の福祉トークをお聞きしました。
西山さんは「看取り」に多様な人に関わってもらうための勉強会やイベントを開催していたり(2018年11月のオープンキャンパスでは「みとりまち」をテーマにしました⇒みとりまちってどんなまち?) 、松村さんは「hinata」で障がいのある人と地域の人の関わりを作る仕掛けをしていたり。清田さんは、「ミーツ・ザ・福祉」というイベントや古着のチャリティショップ「ふくる」の運営を介して、障がいのある人とそうでない人が友達になるきっかけを作っているそう。
3人とも「福祉なんだけど福祉じゃない」ような、福祉の世界から地域に染み出した活動をされています。参加者からは「つながりが多様に広がっていっていることが感じられた」とのコメントが。
最後にルート①とルート③は開明庁舎で、ルート②は西正寺で今日の振り返り会をしました。参加者からは「シャッター通りの意気込みを知ることができました」「30年住んでいるけど尼崎って広い!」や「いつものまちが、ガイドを聞きながら歩くことで、まるで旅行にきたような気分になりました」「季節の良い時にまた違うコースで開催してほしい」、「ホームホスピスの話を初めて聞きました。人と人のつながりを感じました」「神戸に移り住んだ娘に今日のことを伝えて呼び戻します」などの感想がありました。
尼崎南部生まれ育ちという参加者が「ずっと尼崎の海は汚いと言われてきたが、実際に見るときれいになっていて魚もおいしくて感動しました」と感極まる場面もみられました。
今回のオープンキャンパスで今年度のイベントは終了です。来年度も新たな学びや出会いにつながる企画を予定していますので、相談員一同、皆さんのご参加をお待ちしています。お楽しみに。