
園田エリアで夫と一緒に小学生と保育園児、二人の子育てをしている鍬(くわ)亜紗子さん(38)。自分が育った園田の住み心地が良すぎて、結婚してからも迷うことなく園田に住み続けることを選んだ鍬さんに、このエリアの魅力を教えてもらいました。
偶然の出会いから年の離れた友だちのような関係に

子育てしながら、大阪市内で事務職として働く鍬さん。「料理が苦手だったので誰かに少し手伝ってもらえないかな」と感じていました。実家は自転車で5分の距離にありますが、鍬さんの両親も平日は働いています。「血縁関係がない方が気がねなく頼りやすいかも」と思い、シルバー人材センターに家事サポートを相談しました。こうしてご近所に住む谷村順子さん(83)と出会いました。
東京都在住だった谷村さんは、20年ほど前、夫の定年退職を機に尼崎に住んでいた息子に勧められ、夫婦で移住してきました。「シルバー人材センターに登録すれば知り合いが増えるよ」とご近所さんからアドバイスされ活動を始めることに。「80歳をすぎてからは歩いて行ける範囲の依頼なら」という条件で、鍬さんとの縁が結ばれました。今や「順子さん」「亜紗子ちゃん」と呼びあう、年の離れた友だちのような関係です。
二人をつなぐ料理作りや子育ての知恵

鍬さんの週1回の在宅勤務日に合わせて、谷村さんに来てもらうことが多いとのこと。谷村さんは冷蔵庫にある食材を見ながら、2〜3時間かけて料理を作ってくれます。「順子さんの作る料理はシンプルで野菜もたっぷりで美味しいんですよ」と鍬さん。料理のコツや調理道具の選び方も教えてもらい、勧められて鉄のフライパンや銅の卵焼き器を買い、その使いやすさを実感しています。「母親とは違う年代の順子さんから色々と教えてもらえて楽しいです」と、谷村さんの来訪が生活の知恵を受け継ぐ貴重な時間となっているようです。
特に心強いのは、食が細い子にどう対応すればいいかなど、育児書では得られない谷村さんの実体験に基づくアドバイス。日々の子育ての大きな支えとなっています。鍬さんが体調を崩した時には料理を届けてくれるなど、単なる家事代行にとどまらない温かなつながりが育まれているようです。
親も子どもも安心できる園田の子育て環境

園田エリアの子育て環境についても、鍬さんに聞いてみました。「上の子どもが保育園時代は親同士あまり出会うきっかけがなかったんですが、小学校に入学してからは自然と知り合いが増えた気がします」。小学校の敷地内にある児童ホームの父母会にも参加し、周辺のいくつかの児童ホームと一緒に合同運動会を開催したことも。こうした活動を通じて地域の親同士の関係が広がっているようです。
鍬さんの子どもは、小学校の授業が終わると近所の公園などで友だちとのボール遊びや虫とりに熱中して、18時頃の帰宅になることも多いそう。放課後も安心して子どもたちが遊べる環境があることは、園田エリアの魅力でもあります。鍬さん自身も小学生の頃は、よく近所の友人宅の納屋で遊んでいたそうです。田畑が残る園田らしい思い出です。
鍬さんが住む地域には、2000世帯以上が加入する東園田町会があり、盆踊りをはじめとする様々なイベントが小学校を会場に開催されるなど、地域のつながりは健在。子どもたちにとっても身近な学校で開催されるので、より参加しやすい環境が作られています。
自然が残っていて夏はちょっと涼しい

東京都出身の谷村さんは「土地が平坦だし、東京よりずっと暮らしやすいですよ。梅田まで10分、新大阪も近いので新幹線に乗るのも便利、伊丹空港も近い」と園田の住み心地を絶賛します。
「自然がまだまだ残っているところが好き」と鍬さんが言えば、「二つの川に挟まれているし、まちなかよりちょっと涼しさもあるわね」と谷村さんが応えます。都市部へのアクセスの良さもありながら、豊かな自然も味わえる貴重な環境なのです。
新しい働き方と支え合いのかたちへ

コロナ禍以降、暮らしや働き方に変化があった人も増えました。在宅勤務をきっかけに生まれた、鍬さんと谷村さんとの出会いに、新しい支え合いのかたちが垣間見えたような気がします。子育て世代といきいきと暮らすシニア、都市の便利さと今も残る自然、そんな二つが園田地域で混じり合っていることが、安心できる子育て環境の理由なのかもしれません。