ローマからアマへ。本場のイタリアン召し上がれ

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ファブリッツィオ・ヴァレンティニィさん(51)/「CASARECCIO」店主

 阪急武庫之荘駅からほど近い、閑静な住宅街にある「CASARECCIO(カサレッチョ)」。大通りから少し奥まった路地に入ると、食欲をそそる良い香りが漂ってきます。「口に合いましたかぁ?」と言いながら、厨房から出てきて客席で会話をするのはオーナーのファブリッツィオ・ヴァレンティニィさん。ここは、ローマ出身のオーナーが故郷の家庭料理の味を提供するイタリアンレストランです。


この日のパスタランチは、モッツアレラチーズとバジルのトマトソース

 ファブリッツィオさんがお店をオープンしたのは2006年4月。昼時はパスタかピザが選べるランチを目当てに、近所の主婦が多く来店します。夜はガラッと雰囲気が変わって、ワインを飲みながらファブリッツィオさんとの会話を楽しみたいお客さんが、遠方からも集まります。

 イタリアから輸入した本場の調味料を使い、野菜も市内のイタリア野菜専門の農家などから購入。素材にこだわって作られた料理は、どれもうっとりとしてしまうほどの美味しさです。生クリームを使わずに卵黄だけで作るカルボナーラは一番人気のメニュー。最近もメディアに取り上げられ、ランチもディナーも予約必至の人気店です。

ローマで歩んだシェフへの道


厨房で調理をするファブリッツィオさん

 ファブリッツィオさんが料理を始めたのは、ローマで暮らしていた幼少の頃。共働きの両親に代わり、自分のためにご飯を作り始めたことがきっかけです。舌の肥えた友人に一目置かれるほどの腕前だったファブリッツィオさんは、学校を卒業すると飲食の道に進みます。


ピザを調理する様子

 ローマのコルソ通りという、パリで言うシャンゼリゼ通りのような大通りにあった有名なピザ店で7年間働き、そこでどれだけ忙しくても順応するスキルを身につけたそう。その後は食材を取り扱うミニマーケットに勤め、23歳の若さで店長を任されます。「どれだけ腕が良くても材料が美味しくなかったらだめ。食材のことを勉強してから料理人になってよかったですね」とローマでの経験が今に生きていると話します。

日本人に本場の味を味わってほしい


笑顔で話をするファブリッツィオさん

 尼崎市出身の妻とともに日本に移り住んだのは、24年前。恋しい故郷の味を求めてイタリアンを食べに行ったときに、日本人の口に合わせたイタリアンと本場の味との違いに驚いたそう。このときに「ローマの人の口に合う本場の味のレストランを出す!」と心に決めます。


窓から光の差し込む店内

 淡路や芦屋のレストランで働きながら日本語を勉強し、来日してから5年で「CASARECCIO」をオープン。奥さんには「ローマの味は濃すぎるから日本人に合わないのでは」と心配されたそうですが、その味は在阪のイタリア人はもちろん、関西人の口にも合い人気店となりました。


お店の外観

 「5分で決めた」という現在の店舗は、建物のオレンジのレンガや壁のデザイン、少し奥まった雰囲気がローマの裏道のようで一目で気に入って購入しました。神戸や大阪に出店することも考えましたが、人が多すぎず少なすぎない尼崎がしっくりきたと言います。

 さらに「尼崎の人はラテン系。知らない人も『アメリカ人か?』と話しかけてきます。ローマの人も知らない人とすぐに友達になるので、ローマと似ています」とすぐに尼崎に馴染んだファブリッツィオさん。「尼崎を悪く言う人は尼崎を知らない。来たらわかります」とも話します。

大切にしているのは家族とのひととき


家族について語るファブリッツィオさん

 現在はJR立花駅近くで家族と暮らすファブリッツィオさん。立花での暮らしは「最高!」と一言。駅近で交通の便が良いことはもちろん、美味しいお店が多いことも嬉しいポイント。「朝から夜まで働いているので、休みの日は奥さんと過ごすことを大切にしています。休日に家族みんなで美味しいご飯を食べに行くのが楽しみ」というファブリッツィオさんの暮らしにぴったりのまちです。


カウンターで微笑むファブリッツィオさん

 立花エリアは14年前に住み始めた頃は古い街並みでしたが、今はどんどん新しくなって雰囲気が変わってきたので、これから住む人にも気に入ってもらえるのではと話します。「尼崎から出たいと思ったことがない」ほど、現在の暮らしに満足しているファブリッツィオさん。美味しいイタリアンでお客さんのお腹を満たし、陽気な関西弁で周りの人を笑わせる姿は、尼崎に染まってしっかりとこの土地に根付いています。


入り口に置かれた看板

厨房で調理をする様子

ピザを調理する様子

ポーズを決めるファブリッツィオさん

店に貼られた絵

店内のインテリア

調味料

おしゃれなインテリア

ピザを持つファブリッツィオさん

(プロフィール)
ファブリッツィオ・ヴァレンティニィ 1972年ローマ出身、尼崎市出身の妻とともに24年前に来日。娘が0歳の時から毎年イタリアに帰省。休日は友人のイタリア人家族と山でBBQをしたり、みんなで海に行ったりとバケーションの時間を大切にしている。現在はイタリア人スタッフ3人、日本人スタッフ4人が勤務。CASARECCIOで修業をしたスタッフが同じ武庫之荘でドルチェの店を、また福岡でイタリアンの店をそれぞれオープンし、ファブリッツィオさんの味が各地に広まっている。