きゅうりから始まる国際交流!? 真面目にゆるやかにつながる集いの場【みなくる☆そのだ コープさんとこ】

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 市内の色々な場所で活動されている団体さんやスポットをより深く知っていただき、関わってくださる方の輪を広げることを目的に、私たち職員が活動に直接お邪魔してお試しボランティア体験レポートをお届けしようという新入生勧誘企画「新歓情報」。
 今回お手伝いに伺ったのは、コープ園田の二階に位置する地域の集い場「みなくる☆そのだ コープさんとこ」です。
 日々、みんなの居場所となるようなイベント等を実施されていますが、今回は『みんなの尼崎大学生活科学部』主催でルワンダ出身、福島県在住の永遠瑠(とわり)マリールイズさんの講演会をみなくる☆そのだ事務局スタッフとしてお手伝いしにいきました。

 集合時間に伺うと唐突に手渡されたのは青々とした一本のきゅうり。「善法寺ファーム(近所のコミュニティファーム)で朝もらったの」という言葉と、もぎたてのきゅうり。気合満々で来たのにきれいなカウンターを食らい、入りすぎていた肩の力がふと抜けます。


マリールイズさん・生活科学部・みなくる☆そのだ事務局メンバーとともに

そこから、事前にいただいた準備資料を手に会場準備を始めます。
 椅子を用意したり、受付の用意をしたり、物販スペースの案内を掲示したりとこまごまとやることはありますが、運営スタッフが多めだったこともあり準備は快調に進みます。
 マリールイズさんも、娘さんが初めてのお給料で買ってくれたというお気に入りのスカーフでおめかしをし、気合十分でマイクなどの機材チェックを済ませます。


会場準備中!

会場準備が終わった頃合いでお客さんが来場。慌ただしく受付や物販のお手伝いが始まります。色鮮やかなアフリカ布で作られた手提げ袋やルワンダコーヒー、ルワンダティーなどが並ぶ物販スペースの売上はすべて、マリールイズさん主宰の「NPO法人ルワンダの教育を考える会」がルワンダで運営している学校の支援に充てられます。


物販スペースにて

いつもは広々と見えるみなくる☆そのだコープさんとこも、この日は参加者でぎゅうぎゅう詰めです。私も受付を一通り終え、会場の片隅で講演に耳を傾けます。
 マリールイズさんが話すのは、最初のホームステイ先のおばあちゃんが温かくも厳しく教え込んでくれたというきれいな標準語。まるで夜中のテレビで山の風景とともに流れるアナウンサーのような流暢さと落ち着きと温かみのある日本語です。


講演中のマリールイズさん

マリールイズさんの故郷ルワンダは、ヨーロッパの人々からは「アフリカの楽園」とも褒めたたえられる雄大な景色と美味しいコーヒーが作られる国です。また、半分以上の国民が25歳未満という若い力にあふれた国でもあります。
 マリールイズさんは来日前、ルワンダで教師として働いていました。優秀なのに貧乏で学費が払えず退学していく生徒が多くおり、忸怩たる思いを抱えながら働いていたそうです。その後、青年海外協力隊員との出会いをきっかけに、JICA(独立行政法人国際協力機構)の制度を活用し、来日することに。 
 福島県福島市にある福島文化学園に通い始めました。この時のホームステイ先のおばあちゃんが毎日、新聞を読んでいる姿を見て、字の読めない自分の母を思い出し、誰でも字が読める日本の教育が羨ましくなったといいます。 
 ルワンダで内戦が勃発したのは、マリールイズさんが帰国してからわずか二か月後。ルワンダの日常は爆弾の爆音に包まれました。
「また明日ね、って笑顔で別れた同僚の多くが亡くなりました。」と語るマリールイズさんの声にはいまだに癒えない深い悲しみがこめられていました。
 安全な場所を求め、2歳、4歳、6歳の子供とともに家から飛び出したマリールイズさんが持ち出したのはお金と辞書とパスポートだけでした。
難民キャンプで送ろうとしていた日本語のFAXがきっかけで、難民キャンプに滞在する日本人医師の通訳をすることになりました。専門用語はわからなかったけど、手にしていた辞書のおかげで生活の糧を得ることができました。
日本で受けた教育がマリールイズさんを助けてくれました。
 来日以前より抱いていた教育が大切だという思いは、この経験を経て一層強くなりました。「すべての人が教育を受けていれば、殺し合いよりも話し合いを選べたかもしれない」との思いに突き動かされ、日本でルワンダに学校を作るための活動を始めたのです。
 学校を作る前、夢を聞いても何も答えられなかったルワンダの子供たち。でも、学校が始まると口々に夢を語ってくれるようになったといいます。教育の大切さを骨の髄まで実感しているマリールイズさんのお話は、平和と教育を当たり前のように享受している環境の有難さを改めて感じさせてくれました。
 深い静かな感動の中、簡単な質疑応答を経て、講演は無事終了。マリールイズさんは夜の講演があるとのことで、一息つく間もなく会場を後にされました。
 私も運営の方たちと一緒に椅子やテーブルをもとの位置に戻し、この日のお手伝いを終えました。

 みなくる☆そのだコープさんとこ事務局は、こうした地域団体や個人主催のイベントお手伝いや、イベントの実施をされています。事務局スタッフはそれぞれが自分の生活ペースに合わせつつ、地域のつながりのアイデアを出したり、それをみんなで実現するためのサポートをする有償ボランティアとして活動しているのです。
 
 無料で会場を借りてイベントを開催することのできるみなくる☆そのだコープさんとこですが、ただの貸室ではないという創設時に関わった地域の方々の思いを大事にし、新しい利用に際しては地域の集い場としてふさわしい使い方かどうかを運営会議で話し合った上で、利用が決まります。
 オンラインでぽちっとボタンを押せば貸室が予約できる時代に、不器用ともいえるほど真面目に考えるみなくる☆そのださん。丁寧すぎるほど丁寧に思いを重ねて作り上げている集いの場なのです。

 きゅうりを唐突に手渡すおおらかさと、実直に地域の集い場としての役割を考え続ける繊細さを併せ持つみなくる☆そのださん。一度関われば、その人間味あふれる魅力にハマってしまうこと請け合いです。

団体名
みなくる☆そのだ コープさんとこ
活動日時
イベント開催時等(月1回の運営会議あり)
活動内容
みなくる☆そのだ コープさんとこで開催される主催イベントの運営スタッフ
場所
みなくる☆そのだ コープさんとこ(東園田町4丁目104-1)
連絡先
minakurusnd@gmail.com
みなくる☆そのだコープさんとこの方から一言
みなくる☆そのだコープさんとこは、『園田地区の未来へつながる地域の集い場・学び場』として2018年2月23日コープ園田リニューアル時に創設された『みんながそれぞれ得意なことで活躍できる居場所』です。折り紙得意!話を聞くのが得意!…どんな得意でもいいんです。イベント・講座をやってみたい人、地域のために居場所(ふれあい喫茶など)を運営してみたい人、またそれをお手伝いしてみたい人も、一度みなくる覗きにきてください。お待ちしています。