市内の色々な場所で活動されている団体さんやスポットをより深く知っていただき、関わってくださる方の輪を広げることを目的に、私たち職員が活動に直接お邪魔させていただき、お試し体験レポートをお届けしようという新入生勧誘企画「新歓情報」も今回で10回目。これまでたくさんの市民活動団体をご紹介してきましたが、今回は少し視点を変え、個人で活動されている方の様子をお届けします。
市内在住の伊東さんは朝は通学路で小学生などの見守りを行い、昼は公園の管理、夜は地域の見回り活動を行っています。そんな伊東さんにお話を伺い、実際に見回り活動に同行させていただきました。
あらゆる活動の中でも、主に個人でされているのは、上ノ島西公園の管理と地域の見回り活動です。15年ほど前の上ノ島西公園は、草木が生い茂り、全く手入れがされていなかったとのこと。長く伸びた草木は外からの視線を遮り、公園が奥まった場所にあるため更に視界が悪くなり、小さい子供が遊ぶにはとても危険な状態でした。そんな公園の手入れを、ある日譲り受けた一つのあじさいをきっかけに始めたとのこと。
草を抜き、土を馴らし、一つのあじさいを植えました。近隣の人からは「勝手に何をしているんだ」と、注意を受けたこともありましたが、今では公園の植え込みなど一部の管理を許されています。そして、再び一つ二つとあじさいを植えると、地域の人たちがあじさいを持ち寄るようになり、現在では毎年100株を超えるあじさいが咲き、6月には地域の祭りである「あじさい祭り」が開催されてます。荒れていた公園は一人の人、一つのあじさいをきっかけに、地域に愛される公園へと変貌を遂げ、子供の声も戻ってくることになりました。
そんな話を誇らしげに笑顔で話してくれた伊東さんにとって、更に誇らしいのが、夜の見回り活動であるとのこと。毎晩20時に拍子木を鳴らし、まちを歩き、一人暮らしの高齢者などの安否確認を行っています。自身の健康のためでもあるそうですが、この活動を15年7か月続けているとのこと。その見回り活動に我々は同行させていただきました。
毎晩20時前になると、明星クラブのメンバーが伊東さん宅前に集まります。明星クラブとは地元有志で立ち上げた、地域の見守りを目的とする会のことです。約15年歩き慣れたコースに沿って「○○さん、ヨシ」と1軒ずつ丁寧に確認します。昨日と様子が変わっていないと「何かあったのか」、「明日は大丈夫かな」と気に掛けます。過去には、いつも家の前で挨拶を交わす方が見当たらず異変を察知した伊東さんが、ご本人が玄関で倒れているところを発見し救急搬送に至ったことも。伊東さん曰く「週に1度の見回りじゃダメ。毎日やらないと日々の変化に気づけない」とのこと。地域は独居の高齢の方が増え、空き家も増えたそう。誰かが気にかけないと、地域のつながりがどんどん薄れてしまいます。誰が住んでいるのか知らない、どうなっているのかわからないでは、将来の地域社会は成立しなくなってしまいます。
さて、毎日見回りをしているとすれ違う人から「いつもありがとう」とか、ベランダからは、こどもが「こんばんは」、「おやすみ」との声も掛かります。地域には「伊東さんの拍子木の音がないと眠れない」とおっしゃる方もいるとか、いないとか。。些細なことでも地域のコミュニティの力になり、防犯にも役立つのであれば、どんなことでもやりたいとのことでした。
また、伊東さんは毎晩歩くのは自身の健康にも良く、病院への受診歴が25年ないことが自慢とも。見回り活動を毎日続けることで植木の花や気候など季節の移ろいを肌で感じることもでき、楽しみながら続けているとのことです。
最近近くの高校生が参加するようになりましたが、それまでは見回り活動を行う3名では83歳の伊東さんが最年少と、高齢化が著しい状況です。社会の変化と共に、人と人がつながる意識は薄くなりつつありますが、必ず誰かが見てくれているため、やめるわけにはいかないとのこと。「この見回り活動を知ってもらい、新しく見回りをしてくれる人が出てきたらな」とは伊東さんの願いです。
地域と人をつなぐだけでなく、命もつなぐ見回り活動。ぜひ、あなたもどうですか?ご興味のある方は下記までご連絡ください。
- 活動日時
- 毎日20時
- 活動内容
- 地域の見守り
- 活動場所
- 上ノ島町
- 参加条件
- 特になし
- 連絡先
- 立花地域課(電話:06-6427-7770)
- 伊東さんから一言
- 見回りの活動は小さな子供から高齢者まで幅広い世代に感謝されています。感謝の気持ちを受けることはお金に代えられない価値があると思っています。地域を見守る活動を是非一緒にしましょう。