NPO法人ゲートキーパー支援センターの竹内志津香さんにお話しを聞きに行ってきました。
ゲートキーパーとは、自殺してしまいそうなほど悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて必要な支援につなげ、見守る人であるとのこと。
NPO法人ゲートキーパー支援センターとは
ゲートキーパーとは「命の門番」という意味。ゲートキーパーとなるための研修やひとに寄り添うための心理学講座、自分を大切にするための心理学・セルフケア講座を開催しています。
「専門的な資格を取得するには大学や大学院に行って年単位の時間と何十万単位のお金が必要です。ゲートキーパー支援センターの研修は、ゲートキーパーとして、悩んでいる人に支援ができるように、また、受講した人自身が家庭や職場など日常生活のコミュニケーションにも役立たせることができるようなプログラムとなっています。1日で終わる講座もあれば数日かけて学ぶプログラムもあります。」と竹内さん。
悩んでいる人の話をきくときには
悩んでいる人に寄り添って話をするときは、否定せずに、相手を受け入れることがとても大切なんだそうです。その人が自分を否定するような言葉を言ったとしても、受け入れて話を聞く、「傾聴」が重要です。
それでも、友人や知り合い、家族にいきなり深刻な相談をされると、びっくりしてしまいます。「どうせ私なんて死んだほうがいい…」と相談されても、思わず「そんなことないよ。」と言ってしまいますが、これも相手を否定することにつながります。
悩んでいる人みんなが専門機関へ相談にいけるわけではありません。
気づいた誰かがそっと手を指し伸ばせるような、ちょっとした知識をたくさんの人が持っているとすごく素敵ですよね。
ゲートキーパー研修とは
ゲートキーパー研修では、実際にそういう場面に出会った時のロールプレイングも行うそうです。
「私なんか生きてる価値ない。死んだほうがいい…」
「そうなんだね、そんなに考え込んでしまうくらい、辛い思いをしたんだね。」
相手を受け入れて「辛かったんだね」と話を聞きます。
そして、その人が本当に自殺を考えているのかをはっきりと確認します。
「死んだほうがいいってさっき言ってたけど、本当に自殺しようと考えているの?」
聞きづらくてもはっきりと聞き、危険度が高いなら、専門の機関へつないでいく必要があるそうです。
また、自殺に至る人の多くはうつ病の症状がみられることが多いため、うつ病の症状が出ていないか確認することも有効だそうです。例えば、不眠が2週間以上続いているというのは代表的なうつの症状の一つですが、「最近ちゃんと寝れてる?」と聞くことも一つの指標になるのだそうです。
「自殺しようと思っているの?」とは、なかなか聞きづらいですが、「最近ちゃんと寝れてる?」くらいなら、私にも聞けそうな気がします。
研修のロールプレイングでも傾聴と同じように、受講者が誤った受け答えをしてしまったとしても、それを否定せず、それも受け入れたうえでアドバイスをするようにしているそうです。
「学びの場で(注意されたりして)嫌な思いをしたら、それだけが記憶に残って、何も学べずに帰ってしまうので。」
ゲートキーパー支援センターの講座には、相談にのるために勉強したいという方だけでなく、ご自身が、家族や友人などの身近な人のことで悩んでいる方や、自分自身が自殺をするほど悩んだことがある方も来られているそうです。
自殺防止の窓口としては行政の相談支援やいのちの電話などがありますが、それは本人が自らSOSを出し、行動しなければいけません。
日常生活の中で本人が表す小さなサインに誰かが気づき、適切なところへ繋ぐことが必要です。
それができる命の門番、ゲートキーパーを増やすのが竹内さんのミッションとのこと。
最後に活動の上での課題をきくと
「できるだけ多くの人に講座を受けてほしいという思いの反面、民間なので場所代や講師謝礼などのためにある程度受講料を設定する必要があります。そこはいつもジレンマですね。」と竹内さん。
帰る前に、事務所に訪れた人におすすめしているというリラックス体操を体験させてもらいました。目を瞑ってヒーリング効果のある優しい音楽に竹内さんの指示に従って息を吸ったり吐いたりしながらゆっくり身体を動かします。
まるで催眠術にでもかかったようないい心地です。
終わった後はちょっとだけ昼寝をした後のようなすっきりした気持ちになりました。
NPO法人ゲートキーパー支援センターは様々な研修を開催しています。受講したい、という人はホームページ(http://monban.net/)から検索するか、学びの検索サイトから講座を検索し、申込み方法をご確認ください。