平成30年6月16日に、ひと咲きタワー8階みんなのロビーにて、聴覚障害者への支援手法の1つである「ノートテイク」を学んで、実践につなげる講座を開催し、13時~16時の講座に10名の参加者にお集まりいただきました。講師は、聴覚障害者コミュニケーション支援センター等で要約筆記の活動をされている西浦勢津さんと岩崎香苗さん。お二人は、国の定めたカリキュラムに基づく講座を修了した方々です。
まず最初に、耳の構造や聞こえの仕組み、聴覚障害の種類、コミュニケーションの方法等についてお話をうかがいました。耳は、表に見えているのはほんの一部で、音が振動として脳に伝わるまでいくつもの器官を通ることを、図を使って分かりやすく説明してくださいました。また、コミュニケーションの方法として、保有している聴覚を活用する、視覚情報を活用するなど、単一的でなく、多様な手法を用いて聴覚障害者の方々は情報を得ているのだと知りました。
次に、要約筆記の基礎知識についてお話いただきました。一番大切なことは、その場で利用者さんに情報が伝わるということ。後で自分が見るメモとは違うということです。話し言葉でよくある「えーっと」とか「あのー」の繰り返しや、念押しの言葉は、省略して伝える。漢語表現を使って短く置き換える。繰り返し出てくる言葉や団体名などは、利用者さんと相談して、あらかじめ臨時の略語をつくっておくのだとか。
ここまで講義を聞いた後は、ひたすら実習です。
まずは、隣の席の人と筆談で自己紹介。声は出さないようにとのことでしたが、筆談の内容がおもしろかったのか、途中から、クスクスと笑い声が聞こえてきました。
次に、講師の方が読み上げる言葉を聞き取り、書き起こす練習をしました。普段、パソコンで作業することに慣れているので、漢字が思い浮かばなかったり、たくさん文字を書いて腕が疲れてきたり…。実際に要約筆記をする際は、2人1組で行い、A4の紙3枚もしくは10分くらいで交代しているそうです。
また、話す言葉だけでなく、図の説明を文字に起こして伝えるという実習もしました。「四角の中いっぱいに丸がある」「ピザを8つに切ったような形」等、できるだけ分かりやすく伝えるにはどうしたらいいか、みんなで試行錯誤しました。
そして、最後に、物語を聞き取って書き起こしました。話し言葉と違って、省略できるフレーズが少なかったため、セリフについていくのに必死でした。
たくさんの実習が組み込まれた今回の講座。実は、講師のお二人にとって初めての講座だったとのこと。今後も、このような講座を通して、ノートテイクが出来る人が増えれば、とおっしゃっていました。
この講座で学んだことは、8月に開催されるみんなのサマーセミナーやみんなの尼崎大学主催講座等で実践にいかしたいと思います。