みんなの尼崎大学開学記念講座「子どもの貧困と山科醍醐の取組」報告

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写真、みんなの尼崎大学開学記念講座「子どもの貧困と山科醍醐の取組」の様子1

 平成29年10月27日(金曜日)に小田公民館にて「子どもの貧困と山科醍醐こどもひろばの取組」について、特定非営利活動法人山科醍醐こどものひろばの村井琢哉さんに講演いただきました。当日は市民、行政あわせて約40人の参加がありました。
 
 京都では歴史的過去から洛中と呼ばれる上京、下京に富裕層が多く住まれていて、その周辺、さらにその周辺地域は地価が比較して安かったため、公営住宅が大量に供給されたりしたそうです。周辺地域から富を得た方は洛中に向かって移り住む傾向があるため、周辺地域やさらにその周辺地域には貧困と呼ばれる層の方々が洛中に比べると多いという話でした。山科区・伏見区醍醐は左京区からさらに山を滋賀側に越えた、そんな場所にあります。

 「山科醍醐こどものひろば」はもともと地域の子どもたちに親子劇場という演劇をみる会として1980年からスタートしたものの、景気が悪くなったバブル崩壊以降、経済的に参加費が払えない子ども、不登校やいじめ、発達に関する問題から集団になじめない子どもが目立つようになり、子ども一人ひとりの課題に向き合いつつ、子どもの貧困対策に取り組むようになったそうです。

 虐待、いじめ、不登校、自殺などは見えている問題であり、これをいくら対処しても課題はなくなるものではなく、その背景にある人権、貧困、経済、文化、制度など、地域や市民活動・住民活動によって新しい道筋を創りだそうと取り組まれています。

(例)
・安全安心の確保(食事、居場所)
・自己肯定感の獲得(体験活動、学習支援)
・保護者のサポート(保護者会、サロン)
・小・中学校の応援(放課後支援、土曜教室)
・人材育成、地域の支援ネットワーク構築、子どもの貧困問題に関する周知・政策提言など

 子どもの貧困問題を総じて、もぐら叩きの限界&花粉症…大病に至るほどではないけれども小さなストレス(違和感、不快感、劣等感など)が毎日蓄積するものと表現されていたり、子どもを評価する前に受け止める…様々な出来事が発生するが、まずは評価をはさまずそのまま受け止めるという話が印象的でした。

 参加者から「子どもへの対応ではなく、その保護者への対応を優先すべきではないか」という質問があり、村井さんは「大人はそう簡単には変わらない。子どもたちの未来を変えて、社会を変えていく方がより早いと考えている」と回答されました。

※この事業は兵庫県立大学COC事業との共催です。


写真、みんなの尼崎大学開学記念講座「子どもの貧困と山科醍醐の取組」の様子2