最近、尼崎の広場や公園がにわかに盛り上がっていることをご存知ですか。コロナ禍によるステイホームの風潮で、ご近所で豊かに暮らすことが見直されつつあります。尼崎でも近所の広場や公園を活用して、自己表現やコミュニティを作る動きが積極的になっています。
自分の「やってみたい」を実現できる場所<スカイコム>
「コロナの影響で屋内イベントははばかられるけど、屋外だと天候リスクが…」と悩めるイベント主催者の救世主となっているのが、阪急塚口駅前の「スカイコム」。阪急塚口駅ではさんさんタウン3号館の建て替えが完了し、尼崎市では駅南側の駅前広場が「居心地よく歩きたくなる空間」となることを目指し、改良事業を行うとともに、駅前広場等を使う手続きを市職員がサポートする「はんつかパブリックハック宣言」を実施するなど、公共空間の活用を進めています。
さらにこれに合わせてスタートしたのが「みんなの尼崎大学 阪塚ひろば部」が月に一度開催する「はんつか青空ミーティング」。この場所でやってみたいアイデアを募集し、居合わせた参加者と一緒に企画を考えたり、市職員のサポートが受けられる「はんつかパブリックハック宣言」と組み合わせたりするなど、公共空間を使うハードルをぐっと下げる取り組みです。
「阪塚ひろば部」メンバーであり、尼崎市都市戦略推進担当職員の柏木洸一さんは、「公共施設を使えるなら、やりたいことがあるという人は多いと感じます。使った後はきれいに片付けることをルールのひとつにしているので、たくさんの人に使ってもらえるほど、実は維持管理のコストは下がるんです」と管理側にもメリットがあると話します。
スカイコムでは現在は月に1回ほどのペースで、一箱古本市やマルシェ、ジャズの演奏会などのイベントが開かれています。なかには「この空間は広さがちょうど良い」と、この場所で初めてイベントを主催するという人も。自分のやってみたいことが叶えられる場所になっています。
人が集う場所へと生まれ変わった阪神出屋敷駅前<阪神出屋敷駅北緑地>
美しく生まれ変わったのは、阪神出屋敷駅前の広場。市民からの寄付による改修が行われ、2022年7月30日にオープンしました。これまであった噴水や池を無くし、たくさんの緑が植えられています。「ここは以前は通過するだけの場所になっていましたが、新しくなったことをきっかけに普段から人が憩い、集まれる空間になればと思っています」と話す柏木さん。地域の人からは「地域の子どもたちが集まってイベントができる場所になって欲しい」との声もあり、広場としての空間が広くとれるように設計上工夫されているそうです。
阪神出屋敷駅前にも、スカイコムのようにこの広場を使う手続きを市職員がサポートする取組を実施しています。興味のある方はこちらのページをチェックしてみてくださいね。
公園でも楽しい仕掛けが生まれています<橘公園>
市役所のお隣にある橘公園は、噴水広場や野球場、ウオーキングコースなどのある大きな公園。この公園を使って、発想を転換(スイッチ)し日常空間をもっと楽しむ「コーエンスイッチ」が開かれています。5月に開催した1回目のイベントでは「泥団子」作りに挑戦。野球場の黒土と白い砂を6対4で混ぜる秘伝のレシピで、ピカピカの泥団子を作りました。イベントだけに限らず、毎週土曜日には「泥団子ステーション」が登場し、誰でも自由に泥団子を作ることができます。
2回目のスイッチ「野球観戦」では市民チームによる野球の試合を、普段は審判として活躍している尼崎野球協会の方の解説付きで観戦しました。選手の好プレーを解説したり、野球初心者の参加者はルールを教えてもらったり。普段は通り過ぎるだけの野球場も、観客席に座って眺めてみると、奥が深く見どころが溢れていることに気がつきます。
「広場や公園は、地域ごとに開かれているイベントも参加する人も違います。だからこそ、そこにそのまちの色が現れると思うんです。たくさんの人に使ってもらうなかで、広場や公園からまちのカラーが生まれて欲しいなと感じますね」と柏木さん。都市戦略推進担当では、今回紹介した場所はもちろん、その他の広場や公園でやってみたいことがある人のバックアップをしてくれるそう。興味のある人は、ぜひ一度問い合わせをしてみてください。近所の広場や公園を使いこなすことで、きっと暮らしが豊かになるはずです。