
あなたの地域で活動する消防団を知っていますか? 消防局に所属する消防職員ではなく、普段はほかの仕事をしながら、火災はもとより地震・水害などの災害時にも住民の安全を守るために活動してくれていますが、全国的に団員の数が減っているのが大きな課題となっています。
現在、尼崎市内では59の分団があり、750人ほどの団員がいます。非常勤の地方公務員として、地域防災のために活動する人たちに会いに、まずは訓練の現場にお邪魔しました。
日ごろの訓練ではじまるご近所づきあい

2月の終わりの晴れた日曜日。朝から大庄北生涯学習プラザの前のグラウンドに真っ赤な消防車と50人近い団員が集結していました。大庄地区の全9分団による「消防署・団合同訓練」。この日は入団が浅い若手を中心に、各消防団の器具庫からポンプ車を出動させて放水訓練も実施しました。

大庄地区でこの1年間の出動要請は1件だけ。それも幸いにもボヤで済んだそう。それでも、日ごろの訓練を欠かさず、ポンプ車の機械や器具の使い方、手順を忘れないようにする必要があるようです。放水訓練では、時間がかかっている団員に檄が飛ばされる場面も。

定期的な訓練に加えて、いつ出動要請があるか分からない消防団ですが、その魅力を聞いてみたところ「団の人間関係も楽しいし、地域活動に貢献できるから」「知り合いから誘われて入りました。先輩から消防の技術を教えてもらえるから楽しいですよ」と前向きな反応ばかり。

中にはご夫婦で活動している団員も。「夫が消防団に入っていたので活動への理解が深まるかなと思い、去年4月に入りました」という新人団員の小山有利子さん。「子どもが3人いて一番下の子は1歳ですが、うちは両親と同居していて恵まれた環境なんです」。夫の剛志さんとは小学校の同級生だそうで、活動を通して地域のつながりやご近所の人と付き合いが生まれるのが嬉しいといいます。
消防のことをもっと伝える企画広報分団のおしごと

2022年に新設された企画広報分団に所属する河原田(かわらだ)真理絵さんにお話を聞きました。「企画広報分団では、消防団活動の魅力をSNSなどで発信しています。若者が入団したいと思えるようにイベントを企画することもあります」。分団メンバーは10名ほどで、月1回ほど集まって企画を考えるのだとか。

西宮市出身の河原田さん、入団のきっかけは何だったのでしょうか?
結婚を機に園田地域に引っ越し、自宅近くの工務店で広報担当として働きはじめた河原田さん。市役所からの依頼で、小学校のキャリア教育として地元の学校を回って工務店のお仕事を子どもたちに伝える授業をするようになりました。
そんな中で知り合った市役所の職員とたまたま飲食店で会った時に、居合わせた地元の消防団員を紹介されたといいます。「その時にこれから新設される企画広報分団に誘われたんです。自分のためにも家族のためにも、いざという時にきっと役立つ活動だからって」とその熱心さに、2022年に入団することになりました。
応急手当やAED…いざという時に役立つ消防団活動

「入団すると応急手当普及員の講習を受け、誤嚥や心臓マッサージ、AEDの使い方なども身に着けることができました。応急手当の方法は日常生活にも役に立つので、もっと地域の人に伝えていきたいですね」。
企画広報分団員として、小学校の地域防災訓練、各地区のお祭りや幼稚園を回って、子どもや親子向けに防災や応急手当ての方法を伝える講座に出演しています。時には尼崎出身の女性デュオ「あまゆ~ず」が歌う『一人ひとりの大切な命』というテーマ曲に乗せて、マスコットキャラクターのあかりちゃん・しずくちゃんとなり、手話やダンスのステージに立つこともあります。
人気イベントやインスタで知る消防の世界

毎年年始に中央中学校のグラウンドで開かれる「尼崎市消防出初式」は消防の一大イベントです。500人の来場者が集うなか、訓練展示やポンプ操法などを披露し、親子向けの放水訓練やロープワークなどの体験プログラムも人気です。
また数年前より、尼崎市消防局のInstagramやYouTubeが話題になっています。消防活動や救急の知識を親しみやすく伝える動画が人気でフォロワーが急増。消防団紹介動画も投稿されているので、そちらものぞいてみてください。
そして、あなたの地域の消防団の活動にもぜひ参加してみませんか。地元愛あふれる楽しい仲間と出会えるはずです。
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