みなさんは、尼崎市内にどれくらい外国人の方々が生活をしているかご存じでしょうか。実は、尼崎市民45万人中、約1万5,500人の外国人の方々が市内に暮らしています。それでは、普段どれくらいの外国人の方と交流しているでしょうか。「外国料理屋さんは行くけど、、」「英語が話せないからなかなか交流できていない」という方も多いのではないでしょうか。
今回のみんなの尼崎大学オープンキャンパスでは、市内の日本語教室「こんぺいとう」のメンバーにお話を聞きながら、母国をはなれて尼崎でともに暮らす外国人のみなさんとのかかわりを探っていきます。
お寺で異文化交流スタート!
今回の会場は、浄土真宗本願寺派のお寺、西正寺です。住職の中平さんより、お寺についての説明をしていただきました。令和5年には登録有形文化財となった西正寺。はねあげ式の扉(蔀戸)は珍しいそうで、尼崎市内のお寺ではなんとここだけ!歴史の詰まった、尼崎の宝の1つです。
万国共有?各国のことわざ当てからスタート!
いよいよ、異文化交流スタート!日本語教室「こんぺいとう」を立ち上げた金子さんより、メンバー紹介です。
今回は、ハさん(ベトナム)、ナンさん(ミャンマー)、モンさん(ミャンマー)、ヨウチョウさん(中国)、アンジェラさん(ポーランド)、ジャンさん(ベトナム)、モアドさん(モロッコ)、バオチャンさん(ベトナム)の5か国8人のこんぺいとうメンバーが来てくれました。尼崎歴は2年から20年まで!個性あふれるみなさんが集結です。
一言ずつ自己紹介をしたあとは早速、教室でも行っているという異文化トレーニングをやってみます。内容は、各国のメンバーの母国のことわざを聞いて耳コピをして、誰が1番上手に言えたかを競ったあと、ことわざの意味を教わるというもの。まずはベトナムのことわざから。教えてくれるのは尼崎9年目のバオチャンさんです。
バオチャンさん「ニョットンイースー バットンイースー」
うむむ、なかなか聞き取れない、、。他のベトナムメンバーにも発音を教えてもらいながら、耳コピしてみます。結構難しいですが、「ほとんどベトナム語!」という高評価をもらった方もいらっしゃいました。
このことわざを直訳すると「丸々文字を教えてもらっても先生、半分文字を教えてもらっても先生」という意味だそう。あまり日本語にはない意味合いですが、ベトナムには「先生の日」があるそうで、先生を敬う文化を、このことわざから感じることができました。
続いて、モロッコ人のモアドさん。尼崎市内にはモロッコ人は2人しかいないらしく、そのうちの50%が今日ここにいることに!
モアドさん「アシッ カスク アリアン アムライ」
さっきよりは発音しやすいかも!それでは直訳を聞いてみましょう。直訳すると「お金持ちの人が貧しい人になにが欲しい?と聞いたら指輪がほしいと答えました」という意味だそう。いやいや情報量多ない?というツッコミが入りましたが、言い換えると「本当に必要なものはもっとあるでしょ?」という意味。似たようなことわざ、日本にもありそう!
最後は、ミャンマーのことわざ。教えてくれるのは、ナンさんです。
ナンさん「ヨマヤ ヨマ ルーチン」
これは発音しやすい!ナンさんから「完璧です!」と褒められるくらいお上手な方もいらっしゃいました。早速意味を聞いてみましょう。直訳は「ローマへ行ったらローマ人のようにしてください」。会場からは「あ~!」と声が上がりました。日本語で言う「郷に入っては郷に従え」。
このように、言葉は違えど意味が同じことわざが見つかることは、普段から結構あるそうです。他にも中国、ポーランドのことわざを教えてもらい、異文化トレーニングは終了です。
Youはなぜ尼崎に?
さまざまな経緯で日本にやってきたこんぺいとうメンバー。なぜ日本で、そして尼崎で暮らすようになったのか聞いていきます。
中国人のヨウチョウさんは、夫の大阪転勤がきっかけで日本に来ることに。居住地として尼崎を選んだ理由は、夫の故郷・中国鞍山市の友好都市が尼崎市だったから!なんとも運命的な理由で、尼崎で生活するようになったのです。「尼崎市の人はみんな優しい」と話すヨウチョウさん。公園に行ったらみんなが遊んでくれたり、薬局や保育園で絵を描いてわかりやすくコミュニケーションを取ってくれたりした、という素敵なエピソードを教えてくれました。
モロッコ人のモアドさんは、日本のアニメがきっかけで日本語を勉強するように。モロッコでは「ツヨシしっかりしなさい」などのアニメを見ていたといいます。大学卒業後、日本で働くことになり、会社が尼崎にあったことから、市内で生活することになりました。住んでいるのは武庫之荘。美味しい飲食店がいっぱいあり、いろいろな店を巡るのが好きだというモアドさん。尼ライフを満喫している様子でした。
続いて「尼崎でびっくりしたこと」をこんぺいとうメンバーに聞いていきます。「友人に尼崎に住むと言ったら危ないと言われたけど、来てみたら安全でびっくりした」「中学生が仕事体験できること(「トライやる・ウィーク」のことです)に驚いた」などのエピソードが出てきました。さらに「関西弁がわかりにくい」という関西ならではのびっくりポイントも!金子さんによると「あかん」「知らん」などを辞書で調べても載っていないため、なかなか意味を覚えにくいといいます。「職場のみんなが『しんどい』とよく言っていたから意味を覚えた」という裏話を教えてくれたメンバーもいました。
尼崎のおすすめは?チームに分かれて交流タイム
休憩をはさんで、5~7人ほどのグループに分かれて、交流タイムです。
「ミャンマー語を書いてもらったらとても可愛かった!」「魯肉飯は豚肉なのに、なんで魚が漢字に入っているんだろうと思っていたけど、『魯』は地名に由来する漢字だと教えてもらった」など、国を超え、文化を超えて「違い」を楽しんでいる様子でした。
金子先生による日本語教室!
交流タイムの後は、毎週日本語教室をひらき、生徒から深く愛される金子さんによる、日本語プチ講座です。
金子さんの解説から、普段無意識に日本語を話していたら気づかないような「日本語の難しさ」を知っていきます。
例えば、「かなしみ」と「かなしさ」の違い、みなさんはすぐに説明できますか?「かなしみ」にはレベルがありますが、「かなしさ」にはレベルがありません。意識しなければ気づかないような違いですが、実は日本語の教科書にはしっかりと違いについて書かれているそうです。難しいけれど、奥が深い日本語の魅力を日本人が再発見していく時間となりました。
ダイバーシティ推進課からも、多文化共生施策や市内の日本語教室の話もあり、理解も深まりました。
あっという間に終わりの時間が近づいてきました。最後は、進行の若狭さんと金子さんのセッションタイムです。取材をきっかけに「こんぺいとう」を訪れた若狭さんは、すっかり魅力にハマり、教室に通うようになったといいます。そんな若狭さんは「フラットに外国のみなさんと関わってほしいと思う。友達ができる、知り合いが増えるという感覚で話したい」と語ります。それを受け金子さんは「外国人=大変だという目線で見るのではなく、困りごとを同じ目線で話し合える関係性でいてほしい」と、想いを口にします。
これにて、みんなの尼崎大学オープンキャンパスvol.49アマガサキ・ザ・ワールド!@西正寺は終了!大盛り上がりの3時間となりました。
「外国人」で括るのではなく、人と人として関わり合い、仲良くなる。それこそが、本当の意味での異文化理解につながっていくのかもしれません。