第29回みんなの尼崎大学オープンキャンパス「尼崎の昆虫すごいで!〜虫の目からみたまちの環境〜」

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 9月20日(月・祝)は、尼崎の森中央緑地を会場に「尼崎の昆虫すごいで!〜虫の目からみたまちの環境〜」を開催しました。昆虫好きの子どもから大人まで30人が集まり、広大な芝生広場で環境学習と虫とりをした様子をご紹介します。

尼崎の環境を学ぼう


カマキリの被り物と緑色のシャツで登場した松浦さん

 今回のゲストは尼崎市環境監視センター所長の松浦秀一さん。大学、大学院で昆虫の遺伝子を研究し、現在は尼崎の大気や水質の調査をされています。そんな松浦さんから、尼崎の環境がどのように変わっているのかを教えてもらいました。

 昭和40年ごろの尼崎は南部の工場地帯を中心に大気汚染が発生していましたが、環境をよくするためにさまざまな活動が行われ、現在は当時に比べて、尼崎の自然環境はかなり改善されてきています。環境が変わることで、地域に生息している樹木にも影響があるそうで、例えば、空気がきれいな田園地帯にある楠は幹が白っぽくなりますが、工場地帯や道路沿道に生えている楠は排気ガスの影響で幹が黒っぽくなります。


 すると木に擬態する蛾も、田園地帯では白っぽい蛾(明色型)の方が天敵の鳥などに見つかりにくく生き残り、黒っぽい蛾(暗色型)は自然淘汰されていきます。一方で工場地帯では、木の幹が暗い色をしているので田園地帯とは真逆の自然淘汰が発生しているのです。昆虫はまちの環境によって、大きな影響を受けていることが分かりますね。


左側がゲンジボタル、右側がヒメボタルです。大きさが全然違いますね!

松浦さんお手製の標本箱に入ったホタルを見せてもらいました

 尼崎に流れる庄下川も下水道の普及とともに水質が改善されていきました。調査を行った昭和61年には2種類の魚しかいませんでしたが、平成28年には14種類に増えました。さらに、今では尼崎でホタルを見ることもできます。西武庫公園ではホタルを復活させる活動が盛んに行われていたり、猪名川自然林でヒメボタルの鑑賞会が開かれていたりと、ホタルの灯りを尼崎市内で楽しむことができるようになりました。実は、ホタルは卵や幼虫のときから光ることをご存知ですか?光ることで「食べるとまずい」と他の生き物にアピールして、天敵から身を守っているそうで、そんなホタルの姿に擬態し進化した、ホタルガやホタルカミキリという昆虫もいるといいます。

芝生広場で昆虫を捕まえよう!


広大な芝生広場でバッタを手掴みする参加者

 松浦さんから「虫をとるときはゆっくり近づいて、素早く一発で捕まえることがポイント」とコツを伝授してもらい、大人も子どももお待ちかねの虫とりに出発!9月は場所によって蝶やバッタ、とんぼがいるそうで、それぞれターゲットを決めて走り回ります。


雨水が溜まってできた「天水池」の近くでコオロギを捕まえたそう

パークセンターの虫とり名人にマイコアカネというトンボをとってもらった参加者も。舞妓さんのように顔が白いのでマイコアカネという名前なのだとか

アゲハ蝶をゲットしてピースサイン!

昆虫を研究してみよう!


ひとりずつ前に出て、松浦さんから研究テーマを教えてもらう子どもたち

 最後は捕まえた昆虫を松浦さんにみてもらい、昆虫の種類や育て方、観察の仕方を教えてもらいました。「トンボはお腹の横を見てどの種類か見分けます」や「同じ虫かごに入れていると共食いすることがあるので気をつけて飼育してくださいね」など、ひとりひとりに丁寧に説明する松浦さん。子どもたちは捕まえた虫の種類や研究方法を教えてもらい満足気でした。


 当日の様子の一部をYouTubeからご覧いただくことができますので、参加できなかった方も是非ご覧ください。



 みんなの尼崎大学では、この他にもオープンキャンパスの企画を考えていますので、最新情報はFacebookをご覧ください。毎月第2水曜日に開いている「みんなの相談室」の次回の開催は11月2日(火)、園田東生涯学習プラザで開催予定ですので、そちらもご参加お待ちしております。