第2回 新歓情報「コバショ互助会」

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 現在、みんなの尼崎大学では、「いろんなことをやってみたい人」の企画や人とのつながりをお手伝いする『みんなの尼崎大学相談室』や、まちのいろんなスポットを訪れる大人の社会見学『オープンキャンパス』、尼崎でさまざまな活動をしている尼大生が自分たちの活動を紹介したり、体験したりできるワークショップを通じて新たな仲間を探す『尼大新歓!』など様々な企画が進行中。

 今回は市内の色々な場所で活動されている団体さんをより深く知っていただき、関わってくださる方の輪を広げることを目的に、私たち職員が活動に直接お邪魔させていただき、お試し体験レポートをお届けしようという新入生勧誘企画「新歓情報」です。

 第2回目の今回は、JR立花駅北側にある立花商店街を抜けた先にあるまちの本屋、「小林書店」さん。
「コバショ」と呼ばれ親しまれる小林書店さんでは、ビブリオバトルという自分のおすすめの本を紹介するイベントを開催したり、店先にみんなでベンチをつくり、交流したり、本屋さんであり、まちの居場所となっているお店です。


小林書店については、是非尼ノ國の記事をご覧ください(画像をクリック)

 そんなコバショの本屋さんのお仕事をお手伝いする「コバショ互助会」という活動があると聞き、私たち尼大職員の小林と矢倉も体験させてもらいに行ってきました。

 まずは、コバショ互助会で活動されているという井口さんにお話をお伺いしました。
井口さんは3か月ほど前に奥様から「本の配達のボランティアをしてみたら?」と、声を掛けられました。


小林書店の由美子さんと、コバショ互助会の井口さん

 コバショ互助会では、最近配達がしんどくなってきたという、お店の由美子さんに変わり、本の配達をお手伝いする活動をしているとのこと。
井口さんは以前から近所を散歩をしていたため、配達で歩くことは苦ではないとのことでした。かつては神戸市内の書店で働いていたこともあり、本は好きだと話す井口さん。実は小林書店を切り盛りする小林由美子さんとは小学校の同級生で、当時ドッジボールをしていた時に由美子さんの顔にボールを当て、泣かしてしまったというエピソードもお話してくれました。
そんな2人が50年以上の時を経て、このような形でつながっていることに凄い縁を感じました。

 いろいろとお話を伺った後は、井口さんの配達をご一緒させていただくことに。
美容室や個人宅など、6件ほど、時間にして約30分歩きます。暑い時期は熱中症に細心の注意を払い、水分補給も忘れません。


 配達先に到着すると、美容室の扉を開け、「小林書店です」と挨拶を一言。「いつもありがとう」、「そこに置いといて」などの短い言葉の中に小林書店との長年の絆を感じます。
近年はまちの本屋さんがどんどん減っているが、この配達ボランティアで助けられるのであれば、嬉しいとお話されていました。


健康のための散歩もかねて、配達先を歩いて回ります

 井口さんの配達を見学させてもらったあとは、尼大職員の私たちが、実際に本の配達を体験。

 いつ雨が降り出してもおかしくない曇り空の元、丁寧にビニールに入った本と納品書、およそ10軒程の配達を任せていただき、武庫之荘駅前に向けていざ出発。

 コバショさんがまとめてくれた、グーグルマップを頼りにまちを回ります。


 配達先の美容院や理髪店は平日の昼間ということもあり、ばりばり営業中。「小林書店です」と入っていくと、慣れた様子で「そこに置いといてー」「いつもありがとうー」などと声を掛けてもらいました。


 初めてなのに「いつもありがとう」と言われると、なんだか気恥ずかしい気持ちに。
とある美容院を訪れた際には「今日は誰が来てくれたん?小林さんとこの息子さん?」と声を掛けてもらいました。(尼大職員の小林の名札を見て、小林書店の息子さんと間違えられたようです。)
小林書店さんの配達についてお話を聞いてみると、「いつもいろんな人が来てくれるから面白い。それにみんな良いひと!」「前の配達は由美子さんが来てくれて、お喋りしてたけど、ほんとにすごい人。いつもおすすめの本を置いていってくれるねん。」と、とても明るく楽しくお話をしてくれました。
途中から雨がぽつぽつ降ってきたので、二手に別れて急いで配達を終わらせました。

 小林書店に戻ると昌弘さんが出迎えてくれました。
小林書店の配達は最初は夫婦お二人で行っていたそうですが、昌弘さんがご病気で倒れたことをきっかけに、配達は主に由美子さんと娘の愛さんとで行くようになりました。

 でも由美子さんも本という重たいものを扱う商売を長年続け、身体を酷使してきた代償か、次第に足腰が痛くなり、娘の愛さんから「お店も大切だけど、身体が一番大事…辞め時も考えないといけないね」と言われていたそうです。
そんなやりとりを知ってか知らずか、ご近所のお知り合いから「由美子さんつらそうやし、俺本の配達手伝うわ」と言ってこられました。
もちろんアルバイト代も払えませんし、懇意にしている知り合いとはいえ、配達してもらうなんて申し訳ない…と、最初は断られたそうです。
でも「配達って言っても、近所に本を届けるだけやろ。健康のために歩きたいと思っててん。一回やらせてみて」と言われたので、申し訳ない気持ちはありながらも、お願いしてみたところ、「ちょうどいい散歩コースや!目的もなく歩くよりも、よっぽどいいわ!」と言って戻ってこられました。
「このまちには定年退職してから家に引きこもってたり、ちょっと身体動かしたいなーとか散歩したいなーとか思ってる人がいっぱいおる。そんな人に健康のための散歩がてら本の配達してもらったらええねん!俺、知り合いに声かけてみるわ!」
そこからはその彼の声かけから活動が広がり、小林書店の配達をお手伝いする活動を「コバショ互助会」と名付け、数人のメンバーで、LINEグループをつくり、本の配達をお手伝いしています。


本の配達をしたら、その数だけ台紙にスタンプを押してくれます。ポイントカードというよりは、夏休みのラジオ体操のようですね

「スタンプがたまったらどうなるんですか?」
「大したことはできないけど、ささやかな気持ちをプレゼントしています。なにかは秘密。なにかわかったら面白くないでしょう?」と、由美子さん。

 配達が終わった後も、たくさんのお話を聞かせてくれました。
「傘を売る本屋さん」として、阪神大震災をきっかけに、傘を売るようになった経緯とその決意、傘を売るのも、本を売るのも「自分が良いと思ったものを紹介し、販売できる。こんなに面白い仕事はない。」
私もレジの前に置かれた本の紹介を聞き、表紙を見ただけでは全く興味のなかった本を1冊買ってしまいました。

 みなさんも小林書店に一度訪れてみてはいかがでしょうか。
きっとお店の雰囲気と温かい人柄に惹かれることでしょう。
そして小林書店のファンになったら、コバショ互助会に参加して、立花にある小さなまちの本屋さんを一緒に支えていきませんか?

※こちら現在募集を終了しています。

団体名
コバショ互助会
活動日時
特になし(その都度LINEグループにて相談)
活動内容
JR立花周辺を基本とした市内への本の配達
参加条件
小林書店のファン
持ち物
(本を入れる)カバン
場所
尼崎市内
連絡先
小林書店(まずはお店においでください)
小林書店の方から一言
配達をボランティアでなんて、最初は本当に申し訳なくてお断りしようと思ったけど、今考えてみると、まちでこういうことがもっと広がればいいなと思います。私たちのような個人商店で、同じようなところがいっぱいあると思う。まだまだお店は続けたいけど、配達や体力仕事はもう限界…そのためにお店を閉める。でも、もしかしたらお客さんは「潰れてほしくない」「できることなら手伝いたい」と思ってくれているかもしれません。お店側は「ボランティアで手伝ってください」なんてことはとても言えないけど、「手伝わせてください」といわれて「じゃあちょっとお願いしてみようかな」となるかもしれない。そしたら、1年でも2年でも、少しでも長くお店を長く続けられるかもしれない。このまちでそういったことが広がっていく形の最初の一歩になればいいな、と今は思っています。