2022年7月23日(土)は、オープンキャンパス「推し活は研究のはじまり 大学で見つけるマイ研究」を開催しました。架空の大学「みんなの尼崎大学」がついにリアル大学「園田学園女子大学」とタッグ。新校舎が誕生したキャンパスにお邪魔した様子をご紹介します。
会場はグランピング施設?!
今回のキャンパスは、2022年4月1日に新しくできた「欅和館(けやきなかん)(4号館)」。女性の成長を応援する木である欅から名前を取ったこの施設の1階には、なんとグランピングをテーマにした空間があります。たくさんの緑の中に大型テントやアウトドアチェアが置かれ、まるでキャンプ場にいるような雰囲気。このクリエイティブコモンズは、学生がコンセプトを考えたそう。「こんな場所が大学にあったらステキー!」と参加者もテンションが上がっていました。
今回のゲストは、今年度から新学長に就任された大江篤教授。日本古代史と民俗学が専攻で、なかでも「怪異学」をメインに研究されています。怪異と聞くと、オカルトやおばけをイメージしますが、「怪異」はタタリなどの不思議な出来事を表しているそう。怪異について書かれた様々な史料を分析して、その認識を生み出した背景にある社会や文化の特質を考えることを目的としています。
「昔は不思議でないことも怪異として残していたんです」と話す大江先生。現代で使われている「タタリ」と、昔の史料に書かれた「祟り」は意味が違っていて、そもそも「祟り」とは神様が立ち現れることを表す言葉でした。社会にとって不都合な出来事を「祟り」として占い、正しい祭祀を執行することで問題を解決してきました。しかし平安時代からは、亡くなった人が「タタル」と言われ始め、現代ではその使い方をすることが多いと言います。
参加した8歳から91歳のメンバーからは、「一見役に立たないと思われそうなテーマに興味を持って研究するのはすごいと思いました」や「先生が楽しそうに話していることに惹き込まれた。大学の先生のイメージが変わりました」などの感想がありました。
自分のマイ研究を考えてみよう
次は参加者の皆さんの「推し」について、深掘りしたいポイントなどを考える「マイ研究シート」を書きました。書いたシートを見ながら、どんな進め方をすれば面白い研究になるか大江先生からアドバイスをいただきました。「嵐の二宮和也について研究したい。ニノのYouTubeチャンネルには批判的なコメントが一切ないのも素晴らしいんです」と話す参加者には、「それなら本人を研究するよりも、ファンの心理を深堀りしても面白いのではないか」と大江先生。また「公園推し」と話す人には、「市内の公園にミシュランのように星を付けて、発信してみてはどうか」などのコメントをいただきました。
研究をまとめられた方には、来年3月に予定している新歓イベントで研究発表をしてもらいたいと考えていますので、この日の研究がどのように発展したか聞きに来てくださいね。詳細は決まり次第みんなの尼崎大学のSNSでご案内しますので、ぜひチェックしてみてください。
大学とどんなタッグを組みたい?
後半は、地域に開かれた園田学園女子大学と一緒に、タッグを組んでやってみたいことを話し合いました。園田学園女子大学は、園田村・村長の中村龍太郎が女性の学ぶ場を作ろうと1938(昭和13)年に「園田高等女学校」を設立。その後、1979(昭和54)年には地域の多世代が学べる場として生涯学習講座が開講したり、1989(平成元)年には尼崎市が掲げる「近松のまち・あまがさき」と連動して近松研究所を設立されるなど、地域に根ざした取り組みを行なってきました。
近年は、地域の大人や団体と連携した「つながりプロジェクト」も始動し、2年次は必修で地域活動に取り組んでいます。「学生は若者同士のコミュニティしか持っていないので、地域の本気の大人に出会う機会を作っています」と大江先生。つながりプロジェクトを受け入れてもらえる団体や、企画の持ち込みも募集しているので担当教員に連絡してもらえれば、と柔軟な受け入れ体制を整えておられるようでした。
最後に、希望者のみで「ペサウ号」と「近松研究所」のキャンパスツアーをしました。ぺサウ号は、1986年にヤップ島から1ヶ月かけて小笠原諸島の父島まで3000kmの航海をした外洋カヌー。その航海を園田学園女子大学が支援した縁で、当時使用したぺサウ号が寄贈され展示されています。さらに1989年に設立した近松研究所では、近松門左衛門を中心に近世演劇や歌舞伎の資料が保管されています。大学の図書館と併せて、秋頃から一般開放を再開するそうなので、興味のある方は園田学園女子大学のホームページをご覧くださいね。
次回のオープンキャンパスは9月27日19時から、ボートレース尼崎を舞台に昨年度も大好評だった「ちいきいと」を開催します(昨年度のレポートはこちら)。詳細はみんなの尼崎大学のSNSと市のホームページでご確認ください。皆さんのご参加お待ちしております。