第36回みんなの尼崎大学オープンキャンパス「オトナはわかってくれない、のか?」

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オトナはわかってくれない、のか?

 2023年5月21日(日)は、尼崎市立ユース交流センターを会場に、第36回みんなの尼崎大学オープンキャンパス「オトナはわかってくれない、のか?」を開催しました。  
近頃、注目を集めている尼崎の若者たち。大人に話を聞いてもらいたい彼ら彼女らと、若者の声に耳をかたむけようとする大人たちが、世代を超えたフラットな対話をするにはどうすればいいのかを探るトークイベントです。


<会場はユース交流センターのあまぽーと>

 今回は29歳以下のユース世代と、大人の混合グループでグループトークをします。そのために本日の心得「おしえない」「えらそぶらない」「はなしすぎない」をみんなで復唱するところからスタート。まずはグループごとに分かれ、名前や趣味特技などを教え合って自己紹介。とあるグループでは「青春の1曲」を紹介しました。古い曲でも懐メロとしてユース世代も知っていたり、大人たちが口ずさんで伝えたりと、今日のメンバーと少しずつ距離を縮めます。


<奥に写っているのは、ひと咲きプラザのシンボル、ひと咲きタワー>

第1部はユース交流センターについて学びます。センター長の片岡さんと今井さんの2グループに分かれて施設を案内していただきました。ひと咲きプラザには5つの建物があり、そのうち2つの建物がユース交流センターです。


<青少年学習室>

<図書コーナー>

ひとつめの建物「アマブラリ」は学びの場。3階には学生が自由に使える青少年学習室があります。ここはフリーWi-Fiやコンセントの利用が可能で、コロナ禍でオンライン授業が増えた学生のニーズにあわせているそうです。2階には図書館があり、ユース世代に合わせた書籍を中心に貸し出しをしています。子ども向けの絵本もたくさん所蔵されているそう。


<あまぽーと>

<Free Space>

ふたつめの建物「あまぽーと」は活動の場。青い壁が映える室内は、漫画やボードゲーム、ビリヤードなど楽しいコンテンツが置かれています。テーブルで勉強をする子の隣では、小学生がゲームをして遊んでいたり、ソファに座って打ち合わせをする学生がいたりと、それぞれが自由に自分の時間を過ごすことができます。


個室っぽい場所が欲しいとの意見から生まれたスペース

<音楽スタジオは2部屋併設>

「あまぽーとができてからの4年間で、ユースの意見を取り入れながら30回以上レイアウトが変わっています」と片岡さん。寝転びたいと意見が出たときには、ヨギボーの大きなクッションを設置したそう。片隅には電子ドラムもあり、子どもたちのやりたいことがぎゅっと詰まった場所です。

なぜ尼崎のユースに注目が集まっているの?


<説明をしているのはセンター長の片岡さん>

施設見学の後は、ユース交流センターの取り組みについて学びました。「『やりたいをやろう』と掲げているセンターですが、やりたいことだけじゃなく遊ぶ場でいいと思ってるんです。ふらっと来れる場所があることが大切なので」と片岡さん。年間約300件の相談が持ち込まれるセンターでは、これまでに施設の壁にプロジェクターを投影し大画面でゲームをしたり、取り壊されることが決まった市の公共施設で怖すぎるお化け屋敷を開いたり、ラップをしている中学生と一緒にクラウドファウンディングで資金を集めてアルバムを出したりと、若者から出たやりたいことを大人が応援して実現してきました。


<施設の壁にたくさん貼られた「やりたいことリスト」>

「子どもや若者にとって当たり前のことを当たり前にすること」が重要だと話す片岡さん。国連総会で「子ども権利条約」や採択されてから34年が経ちますが、日本の教師に行ったアンケートでは「子どもは義務や責任を果たしたときに権利を主張できる」と3割の人が回答している現状があります。「日本の社会の多くは子どもを『保護する対象』としていますが、それと同時に子どもは『参加する主体』であり子どもの声を聞くことは大人の『義務』なんです」と片岡さん。
そんな中、尼崎市では全国でも先進的に若者施策に力を入れていて、ユース交流センターで取り組んでいる「Up To You!」もそのひとつ。


<Up To You!代表のサキさん。「温かい目で見守ってください」と緊張を覗かせますが、笑いを取りつつ堂々と発表していました>

 「Up To You!」とは14歳から29歳までのユース世代が、自身が直面する課題の解決方法を考えて尼崎市に提案するユースカウンシル事業。若者がきがねなく社会に参画できるまちにするために始まりました。昨年度の第一期は、20人が参加して12のプロジェクトが誕生。例えば、児童虐待を減らす活動や校則を見直すプロジェクト、また、スケートボードの練習場所の設立をめざす団体はNPO法人化も実現しました。


<学生が学校以外で部活できる仕組みづくりに取り組むわたもえさん>

今年度は新たにメンバーを加えて、定時制高校に通う学生の学習機会を増やすプロジェクトや、動物の殺処分などに関する動物問題についての活動などが生まれています。 
代表のサキさんは、金銭的な理由で高校や大学進学を諦めることに課題を感じ、大学無償化を目標にプロジェクトを立ち上げたそう。「若者もひとりひとり違う意見を持っています。私たちのやりたいという気持ちに大人が無理と言う権利はないと思うんです」と参加者に訴えかけるサキさん。ユースたちの自身が感じる問題や課題を社会化してプロジェクトにしていく姿に、大人たちは刺激を受けずにはいられませんでした。

ユースも大人も本音で話そう


 第2部は、ユースと大人がみんなで本音を話し合います。まずは、事前に募集した大人とユースがそれぞれに感じているモヤモヤをみんなで見ました。大人からは「大人は口だけだと思われたくない」や「若者のセンスにビビっています…。例えばファッションやメイクが手抜きだと『ダッサ』などと思われていないか不安」など、ユースからの目線を気にしている声が多数寄せられました。



<ユースから寄せられた本音は大人の胸に刺さります>

一方でユースからは「しつこい」や「すぐに怒ってくる」などが多数集まり、他にも「変化を受け入れない大人」や「『この子面白いねぇ』みたいに無意識に評価してくる大人」、「変に距離が近い」など、大人たちは「自分のことかも…」と肝の冷えるコメントが寄せられました。



<グループに分かれてそれぞれのモヤモヤを語ります>

グループに分かれてそれぞれが思う「対話の心得」を考えます。対話が上手くいく方法や上手くいかない理由を格言のように半紙にしたためました。


 集まった格言は、話すぎを揶揄した「話は百四十字迄」や「人としてのリクペクトを」、
「相性を大切に」「空気を読む」などの会話の心得がありました。なかには、サウナのように「汗かいて整えよう」という言葉もありましたが、書いた参加者は「若者の本音に冷や汗をかきましたが、勉強になった1日でした。私たち大人も初めて『大人』をしているので、分からないことがいっぱいですね」と話していました。


<ユース交流センターの今井さんもユース世代>

最後に今井さんは「ユース交流センターは、大人にとっての居酒屋やバーのような場所だと思うんです。バーのカウンターで隣の人と話すのが楽しいときもあるけど、一人で飲みたいときもある。やっぱり人との関係性を築くのは、そんなすぐにはできないと思うんですよね」と締めくくりました。相手のことを気遣う気持ちは、ユースや大人に関わらず、誰に対しても大切なことだと改めて学ぶ時間となりました。


<心に響く格言はありますか?>

次回のオープンキャンパスは、7月に「FARM &PIZZA!」を予定しています。なんだか美味しそうなタイトルですが、詳細はみんなの尼崎大学のホームページやSNSでお知らせしますので、乞うご期待!みなさんのご参加お待ちしています。