OCvol.45 祝!阪神尼崎・駅前中央公園リニューアル記念芝生広場を使いこなす大会

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 阪神尼崎駅前の大きなクスノキの下に広がる芝生に面してイタリアンカフェがオープン。鉄と木で作られたモニュメントにはCentral Parkと刻まれていました。2025年3月29日、駅前の中央公園(たしかに英語でセントラルパーク!)がリニューアルオープンした記念すべき日に、この公園を「使いこなす大会」としてみんなの尼崎大学オープンキャンパスを開催しました。

 今回新しくできたこの空間で、それぞれの「使いこなし」の楽しさを競いあい、仲よくなろうと企画したコンテスト。普段から市内の公園や広場を使った活動をしているグループ総勢10組が芝生広場に集結しました。

ベンチ、スツール、カウンター。思わず座りたくなる公園の仕掛け

 まずはこの公園を整備した尼崎市都市戦略推進担当の柏木さんの案内で、できたばかりの園内をぐるりと見学ツアーへ。シンボルツリーのクスノキの周りには、伐採された木を再利用したスツールなどが散りばめられ、園内には座れるスポットがたくさん増えていました。真ん中の芝生広場が少し丘のようになっているのも、座りやすくするためのこだわりポイントなんだとか。「高校生が勉強してくれたらいいな」と作られた公園を見晴らすカウンターは、夜には手元がライトアップされる仕掛けも。


公園に散りばめられた工夫の解説に聞き入る参加者たち

プレイスメイキングから学ぶ、使いこなしのコツ

 すっかりきれいになった公園ですが、その価値はやっぱり使われてこそ輝きます。そこで、大会審査員でゲストの田村康一郎さんから「世界の公園の使いこなし」についてレクチャーしてもらいました。田村さんはまちの空間の居心地を良くする「プレイスメイキング」という都市デザインの専門家。アメリカやメキシコなどのよりすぐりの広場の写真を見ながら「同じ空間で色々な活動が同時に共存していること」「暮らしの延長で身近な使いかたをしていること」「見ている人もいいなと思えること」など、使いこなしのコツを教えてくれました。


ニューヨークの公園の写真を解説する田村さん(右)と中央公園のルールを教えてくれた前阪さん(左)

一番大切なルールは「だれかの迷惑にならないこと」

 「よし、それなら何でもやってやろう!」と、その前に、公園にはルールがあることもきちんとお勉強。尼崎市都市公園条例というルールがあること、さらに中央公園の禁止事項として、火器の使用や喫煙、ハトへのえさやりなどを確認しました。尼崎市都市戦略担当の前阪さんからの解説に「え? それだけ?」と制約の少なさに拍子抜けしましたが、一番大切なのは「だれかに迷惑をかけないこと」。そんなマナーを守りながらいよいよ、今日の出場者の発表です。ゼッケンをつけた出場者がステージに上がり、それぞれが今日の意気込みを語ります。園田、杭瀬、塚口、立花、尼崎の森、さらには福知山でならした猛者たちの舌戦で会場を盛り上げてくれました。


「今日は優勝しにきました!」といきなり宣言する杭瀬スプーンクラブの皆さん

ジャグリング、フルート、レコード、スプーン、わに? 遊びが公園にあふれる

 全10組の紹介を終えていよいよ競技がスタートしました。好きな場所でそれぞれの使いこなしを披露する1時間。審査員の田村さんがスコアシートを手に採点に回ります。審査のポイントは次の5つ。
(1)あこがれ(魅力度)
(2)おどろき(新規性)
(3)いっしょに(参加性)
(4)とけこみ(風景との調和)
(5)いつでも(日常性)

 では、すべての出場者の華麗なプレイをご紹介しましょう。

エントリーno.1あまのジャグ

 尼崎市立ユース交流センターを拠点に活動するジャグリングクラブで、ボールやクラブ、シガーボックスといった演技をしていると子どもも大人も集まって練習会が繰り広げられました。


鮮やかなクラブが宙を舞うと公園が一気に華やかになります

エントリーno.2 杭瀬スプーンクラブ

 杭瀬公園と隣の材木店で毎月活動している、端材からスプーンを彫るクラブはいつものベンチセットを持ち込んで、芝生の中央でぐるりと輪になって木を削っていました。


ナイフ片手に夢中で彫っていると通りすがりの人が話しかけてきます

エントリーno.3 さんとしょ青空図書館

 三和本通商店街にある私設図書館が屋台で移動してきました。公園にあいそうな本を選んで持ってくると、会話もはずんで夢中で読みふける子どもも現れました。


本棚屋台の前で大人も子どももおしゃべりを楽しんでいました

エントリーno.4 尼崎フルーティスト合同練習会

 公園で演奏していても心地よい音色のフルートを、と二人のフルーティストがここで待ち合わせしてはじめての曲を演奏してくれました。目の前のベンチがいつのまにか客席に。


桜の木の下で春の装いでフルートを吹く二人は絵になります

エントリーno.5 前カゴ屋台

 この日は午前中から並木道にずらりと並べた自転車の前カゴを使ったマルシェが開催していました。自作の前カゴで手作りの商品が並びました。移動屋台の新形態あらわる!


前カゴは着脱可能なのでいつもの自転車が屋台に早変わり

エントリーno.6 森展実行委員会

 おそとdeアートと題して青空の下で子どもたちと作品を制作。ダンボールで作ったメガネと耳を使って普段は感じることのない感覚をとぎすますレッスンです。


大きな紙を地面に広げてクレヨンで描いていきます

エントリーno.7 麹ヤタイ

 並木道にテーブルと椅子を置いて屋台を開店。とはいえ露店営業許可はないので、日本酒や甘酒のふるまい。さらには三和のおすすめキムチの試食も。


味噌や甘酒など発酵にこだわるお店はワークショップも企画中だとか

エントリーno.8 森の会議

 尼崎の森中央緑地で活動する森の会議からは、森の小枝クラフトとなんと津軽三味線で参戦。意外にも三味線が人気で、弾いてみたいとバチを持つ人が続々やってきていました。


クスノキの下から聞こえてくる三味線の音に人が引き寄せられていました

エントリーno.9 ストリートカフェ研究会

 レコードを聴きながらコーヒーを飲むカフェ空間を演出してくれました。懐かしいレコードを並べて通りすがりの人からのリクエストを受けるといつのまにかそこは歌声喫茶に。


いつもは福知山の商店街で活動するメンバーがセントラルパークに集合

エントリーno.10 チームわにわに

 地元を盛り上げたいと「わにーた」というキャラクターで参加したチームは、かわいらしい着ぐるみで園内を練り歩き子どもたちに囲まれ記念撮影にこたえていました。


わにーたの鮮やかなグリーンが芝生にマッチしていました

 それぞれが思い思いに過ごしたのち、いよいよ結果発表です。
 最優秀セントラルパークプレイヤーは、エントリーno.9の「ストリートカフェ研究会」のみなさん。「レコードを通じて会話が生まれて楽しい雰囲気が伝わってきました。僕も自分の活動でやってみたい」と審査員の田村さんからの講評を受けて、大喜びのメンバーたちはこの後、近くの居酒屋で乾杯したのだとか。おめでとうございます!


最優秀賞でごきげんなメンバーたち。おそろいのTシャツもいい感じ。

 この日集まった10組は、いずれも普段から公園や広場を楽しむコツや気持ちを持っている人たちばかり。こんなふうにちょっとした遊び心があれば、地元の暮らしをもっと楽しくすることができるのかもしれません。中央公園はこの後6月までは芝生の養生のため立ち入り禁止になりますが、これからさまざまな「使いこなし」を試してみたくなる大会になりました。

 今後もみんなの尼崎大学では「ひろば部」として、今回の参加メンバーらと情報交換ができるオープンチャットを開設。気になる人はぜひご参加ください。
オープンチャット「みんなの尼崎大学ひろば部」