からだに優しいロースイーツで子どもを笑顔にしたい

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写真、カフェ店主の長尾孝浩さん
長尾孝浩さん(46)/カフェ店主

JR立花駅から徒歩すぐ、ビル2階にある「Cafe Holo i Mua(ホロイムア)」。看板メニューは小麦、砂糖、卵、乳製品を使わず植物性素材のみで作るからだに優しいロースイーツ。10代からずっと飲食店を中心にアルバイトを続け、これまでのすべての仕事が、今のカフェにつながっているようです。長尾さんが尼崎で開業するまでのものがたりを聞いてみましょう。

高校時代の飲食店バイトから才能が花ひらく


写真、ビルの2階にホロイムアの看板が見える

店内はカウンター席とテーブル席の12席、上の階にはロースイーツの工房を備えて、それを長尾さんたったひとりでこなしています。

長尾さんと飲食業の出会いは16歳の高校生の頃でした。ファミリーレストランで働き始め、その後10年間そこでのアルバイトを続けることになります。

いかに効率よく作業を進めるかを日々工夫し続けた長尾さん。その仕事ぶりは、当時全国に100店舗近くあった中、ホールとキッチンを担当するすべてのパートとアルバイトスタッフが参加し、その技量を競う「クルー甲子園」でトップに選ばれたほど。アルバイトでありながら料理長代理などの役職も任されました。

「あのファミレスの経験が今につながっていると思いますね」。しかし、飲食業の厳しさを目の当たりにし「社員にはなりたくなかった」と長尾さんは振り返ります。

スーパーバイトとして腕を磨いた20代


写真、営業前の時間に手際よくランチプレートを仕込む長尾さん
営業前の時間、手際よくランチプレートを仕込む姿は、これまで数々の仕事現場で培ってきた賜物でもある

大学卒業後も就職する気はなく、ファミレスでの仕事を続けながら短期の派遣バイトも掛け持ちしていました。引越し業者や食品工場など、数カ月ごとに違う仕事を渡り歩く生活。「どの派遣先でも楽しかったんです。どう工夫をすれば時間内にどれだけ早くミスなく作業できるか、ゲーム感覚というか」。

当時は「今が良ければすべてよし」がモットーだった長尾さんは、将来のことなど全く考えず、アルバイトが終われば仲間たちと夜通し遊んで楽しむ、そんな日々を過ごす20代でした。

海外で決心した「飲食業で食べていく」


写真、小鉢に並ぶ料理

30歳を前にして、長尾さんに転機が訪れます。ショッピングモールのフードコートに出店するラーメン店のオープニングスタッフとして派遣されたのです。そこでも働きぶりを買われ、直接雇用され2年間働くことになります。

そして、さらに中国・北京へ出店する際のスタッフとして抜擢。1年後には日本に戻りましたが、苦楽を共に働いた店長の前向きな姿勢に触発され「飲食を仕事にしよう」、長尾さんの心が決まった瞬間でした。

ロースイーツとの運命的な出会い


写真、ローケーキとローアイスのプレート
色鮮やかに並べられたローケーキとローアイスのプレート

帰国後、長尾さんに決定的な出会いが訪れます。知人の紹介で店長を任された豊中の薬膳カフェで「ロースイーツ」に出会ったのです。

ロースイーツとは、小麦、砂糖、卵、乳製品を使わず、非加熱で作られるお菓子のこと。使われるのは植物性素材のナッツやフルーツ、ココナッツオイルやアガベシロップなどの天然甘味料です。加熱を抑えることで、熱で壊れやすいビタミンや酵素、ミネラルなどをキープできるそう。

長尾さんはそのカフェで、小麦や卵などのアレルギーで、普通のスイーツが食べられない子どもがいることを知りました。いつも甘いものを我慢している子どもがロースイーツで笑顔になる姿をみて「もっと世の中にロースイーツを広めたい」。その思いがむくむくと芽生え始めました。

「開業するカフェは、ロースイーツをメインにする」、長尾さんの決心は固まりました。

2019年7月、JR立花駅の近くにホロイムア誕生


写真、オリジナルマグカップに入ったコーヒー

開業の数年前「パートナーが塚口に住んでいるから」という理由で、吹田から尼崎に引っ越してきていた長尾さん。お店を開くなら自宅から近い場所で、とJR立花駅の近くに居心地の良さそうな物件を見つけ、“からだに優しいロースイーツを届けるカフェ”として2019年7月「ホロイムア」をオープンさせました。


写真、一日20食限定の一汁八菜ホロイムア定食
一日20食限定「一汁八菜ホロイムア定食」は、小鉢には野菜をメインにした色とりどりの料理が並ぶ

武庫之荘の自宅から毎朝6時には出勤します。営業時間は11時から18時まで。一日20食限定の「一汁八菜ホロイムア定食」も好評ですが、「ご飯屋さんにはしたくない。あくまでロースイーツをメインにしたカフェにこだわりたい」というのが長尾さんの思いなのです。

店名に込めたメッセージとともに全国へ


写真、左から、尼いもを使ったビスコッティ、ローケーキ、ローアイス
尼崎の伝統野菜である「尼いも」を使ったスイーツも開発し、「あまやさい地産地消推進店」にも認定されている。写真左から、尼いもを使ったビスコッティ、ローケーキ、ローアイス

オープン以来看板にしてきたロースイーツですが、まだまだ広くは知られていません。長尾さんの次の目標は「ロースイーツがもっと当たり前に知られること」。ホロイムアの通販サイトでは全国から注文が寄せられ「いつかはロースイーツを持って、全国をキッチンカーで回りたい」と夢はさらに広がります。

「お客さんの表情が、来たときと帰るときで変わった瞬間に出会えたときが、何よりカフェを開いてよかったと感じますね」という長尾さん。

店名の「ホロイムア」は、ハワイ語で「前を向いて進んでいこう」。明るい光の差すカフェは、長尾さん自身を前向きに、そしてお客さんの背中もそっと押してくれる場所にもなっているのでしょう。


写真、店内の看板

写真、店内のカウンター席の様子

写真、キッチンでインタビューに答える長尾さん

プロフィール
ながお・たかひろ 1979年、徳島県出身。小学生時代に尼崎市へ転居、その後は大阪府吹田市で暮らしたが、30代になって再び尼崎へ。10代の頃から飲食店のアルバイトを始め、派遣バイトなど数々の現場を経験。2019年、尼崎・立花にロースイーツを看板メニューとした「Cafe Holo i Mua(ホロイムア)」をオープン。オリジナルのロースイーツやローアイスはオンラインショップでも購入できる。