尼崎市内にある全41校の小学校では、すべての学校の敷地内に市立児童ホーム(学童保育)が設置されています。共働きなど昼間は保護者がいない家庭の子どもたちが、放課後を安全に過ごす場所として、校庭に建てられた別棟の建物などで過ごしています。今回はそんな上坂部小学校の児童ホームを取材しました。
下校してすぐ「おかえり」と迎えてくれる、あんしん空間
校庭を通って校門の脇に建つ2階建ての建物の1・2階の2部屋が、児童ホームの教室です。子どもたちが「ただいま~」とドアを開けると「おかえり~」と指導員が迎えてくれます。
子どもたちはすぐに自分の棚にランドセルや荷物を置き、手洗い。低学年の子どもには、指導員から「学校に忘れ物はしてきてない?ちゃんとチェックしてね。忘れていたら一緒に取りに行こう」といった声かけもあります。すぐに宿題を広げる子もいれば、教室に備えられた遊び道具を出してきて、友だちと遊び始める子もいます。学校での短い休み時間と違い、たくさんの友だちと色んな遊びを楽しめるのは、児童ホームだからこそ。
ある日のホームのスケジュール
ここでは学校のように時間割はありませんが、子どもたちは自由に過ごしながらも、学習タイムやおやつタイムなど決められた時間もあります。
7月のある日は、こんな風に過ごしました。
14:15~ 登所/学校の授業を終え、児童ホームへ
自由遊び/室内にあるブロックやカードゲームなど友だちとできる遊びを楽しみます
14:50~ 学習タイム/この時間に学校の宿題などを済ませます
15:30~ おやつタイム/数種類のお菓子が袋詰めされたものを各自もらいます
16:20~ 自由遊び/校庭でサッカーや遊具遊び
16:50~ 終わりの会/当番の児童が今日の一日を振り返ります
17:00~ 降所/帰る方向ごとにグループになって帰宅します
尼崎の児童ホーム、ここがすごい
尼崎では、各児童ホームが年間カリキュラムをつくり、夏祭りやクリスマス会、お別れ会など季節感のある行事を企画したり、けん玉やこま回し、お手玉などの伝承遊びにも積極的に取り組んでいます。
特にけん玉は、毎月、けん玉認定会を開催し進級に向け、頑張っているそう。教室には各自のけん玉棚があり、その熱心さが感じられます。入学前から触れたことのある子、小学生になって初めて触れる子も含め、はげまし合って取り組んでいることのひとつです。
カードゲームや将棋など、家で触れていなかったものに児童ホームで触れ「家で家族も巻き込み夢中になってやるようになりました」という保護者も。また、外遊びでは、校庭を駆け回ってサッカーやドッジボールをしたり、ジャングルジムやブランコなどの遊具遊びで思いっきり体を動かせます。学校内の児童ホームだからこその環境だといえます。
保護者も頼れる心強いスタッフたち
入学まもない低学年の保護者にとっては、学校で子どもがどう過ごしているか、友だちと仲良くできているかなど、まだまだ悩みは尽きないと思います。でも児童ホームの指導員は、保護者とスマートフォンのアプリや電話、さらに個人懇談会を通して相談に乗ってくれます。また、児童ホームの運営は、放課後児童支援員認定資格や保育士・教員免許などの有資格者が担当しており、補助指導員も育児経験者や子どもが大好きで勤めている職員ばかりですので、安心して預けることができます。
延長利用時間が1時間伸びて、19時までに
児童ホームの利用時間は、下校時から17時まで、それ以降は延長利用時間となります。昨年度までは最長18時まででしたが、令和6年4月からは19時までに変更され、より利用しやすくなりました。ただし17時以降の利用の場合、子どもだけの降所は出来ないので、保護者のお迎えが必要です。
延長利用のお迎えに来た一年生の保護者は「お迎えに来るとホームで過ごす子どもの様子も見ることができるし、直接指導員の先生から今日どう過ごしていたかお話しも聞けるのが安心です」とのこと。
入学前は、毎日保育園にお迎えに行き園で過ごす様子を伺うことができていたのに、小学校になると急に様子が分からなくなる、という不安を持つ保護者もいるようです。「毎日、児童ホームまでお迎えに行く」ことで、子どもが放課後、児童ホームでどんな風に過ごしているか見られる、という安心感もあるのです。
新サービスの入退室アプリ導入も
これまで児童ホームと保護者との連絡は、手書きの連絡帳や電話でのやり取りでしたが、令和6年度の2学期からは、子どもの入退室を保護者のスマートフォンのアプリで確認できるようになりました。子どもの連絡帳の出し忘れなどで、児童ホームからの電話着信に慌てることもなくなりそうです。
さらに、教室にはWi-Fiも完備され、タブレットを使った学習なども児童ホームでできるようになっています。
児童ホームの募集時期について
毎年11月に翌年度向け児童ホームの入所募集が始まります。令和6年度の費用は「児童育成料」として月額10,000円(所得状況に応じた減免制度があります)、おやつ代が1,665円(おやつ代はホームによって異なる場合があります)、スポーツ安全保険料が年額400円です。17時以降の延長利用の場合は、プラス月額1,800円がかかります。
入所決定の通知は2月ごろ。各ホームで定員があり、低学年が優先して選考されるため、定員を上回った場合は待機となる場合もあります。
(※定員に満たないホームは、随時入所募集をしています)
児童ホームとともに各校には「こどもクラブ」も併設されています。こちらは保護者の就労の有無に関わらず、放課後を校内で自主的に過ごす居場所として設置されています。教室は児童ホームと隣り合っている場合もあり、児童ホームの責任者が教室を管理しています。
こどもクラブにも指導員が複数名いて、子どもの活動を見守ったり、遊び相手になってくれたりもします。事前登録は必要ですが、定員はなく費用は年額800円のスポーツ安全保険料のみ。利用当日に子どもが「登録カード」を持参して参加できます。学年が上がり、放課後の習い事などで「児童ホーム」を毎日利用する必要がなくなると、「こどもクラブ」の利用に変更する例もよく見られるそうです。
「児童ホーム」「こどもクラブ」が一体的に運営されている尼崎では、安心して放課後を過ごす場所があるといえそうです。ともに所管課は、市役所にある児童課が担当しています。入所の詳しい内容は、児童課まで。
放課後活動(児童ホーム・こどもクラブ)|尼崎市公式ホームページ