この冬一番の寒波到来のなか2月12日(水)にみんなの相談室と談話室を開催しました。今回、よるの談話室では、「共感者集めと仲間づくり」をテーマに尼崎市内の女性たちのネットワークを生かして活動する合同会社ココスキの坂本恵利子さんをゲストに迎え話し合いました。そんな相談室と談話室の様子をレポートします。
「みんなの尼崎大学 相談室と談話室(略して、みんなの相談室)」とは…
偶数月の第2水曜日の13:00〜14:30(ひるの相談室)、19:00〜20:30(よるの談話室)をあまがさき・ひと咲きプラザで開催しています。ひるの相談室は「尼崎でこんな活動・事業をしてみたい」「進めたいプロジェクトがあるから、仲間が欲しい」「何ができるかわからないけど、お手伝いをしてみたい」など、活動の場を見つけたい人や広げたい人が相談できる場です。よるの談話室は、あるテーマについて話題提供者から話を聞き、集まった人たちで、そのテーマについて談話をする場です。

今回の「ひるの相談室」は、参加者は6名。うち5名が初参加でそれぞれ興味津々な話題がたくさん持ち込まれました。
僕を救った「ありがとう」の経験談を広めたい

最初の相談者は初参加のロッキーさん。現在、70歳で市内で活動をされていますが、過去の失敗をいかにして乗り切ったのか、語り始めました。
ロッキーさんは、大学卒業後は大手企業に勤め、順調な会社員生活を送っていましたが、周囲から独立を勧められ退職。最初は事業が上手く進みましたが、ある時、仲間と大きな事業を手掛けた所、大借金を抱えてしまいます。失意のなかのロッキーさんに知人が「お前は周りに感謝してるか?」と諭されます。それ以来です。どんな些細なことにも「ありがとう」と言い続け、毎日びっしりと「ありがとう日記」にもしたためるようになりました。
おかげで仕事は営業せずとも入るようになり、無事借金を返すこともできました。「もっと尼崎でも体験談と“ありがとう”の輪を広めたい」というのが今回のご相談内容でした。
「ありがとうセミナーは何だか怪しい雰囲気も…」という参加者の感想も聞かれましたが、誰もが感謝しあうことは、温かく優しい社会を作るに違いないと、まずは「ありがとう」を言うロッキーさんの実践を真似したくなってきた、一同でした。
自作のご当地キャラで尼崎を盛り上げたい

こちらも初参加のサキヤさん。会社員をしながら、これまでご当地キャラを作って地域を盛り上げる活動をしてきた経験があります。尼崎に転入してきて10年あまり「そろそろ尼崎でも」との思いが高まり、住んでいる近くを流れる猪名川や藻川に生息しているという設定でワニののキャラクター「わにーた」を考案。すでに着ぐるみを制作中で、2月中には完成予定だといいます。
その生まれたての「わにーた」をお披露目できるイベントや今後一緒に着ぐるみに入ってくれる仲間を募集したいと相談に来られました。
何と着ぐるみの制作費は自腹。サキヤさんの「着ぐるみでイベントを盛り上げ、子どもたちにも喜んでもらいたい」という、何ともピュアな動機に感心してしまうとともに、早速、尼大事務局は3月主催イベントへの出演をお願いしました。
ほかにも、去年からプライベートでAIを学びはじめ、その面白さと可能性を感じ、来春からAIコンサルタントとして独立開業予定の方からは「初心者向けのAIセミナーを開催したい」という相談が。参加者全員がAI聞いたことはあっても全く触れたことのない人ばかり。「AIってどうやって使うもの?楽しむものなの?」と興味津々のうちに、ひるの相談室は終わったのでした。
女性たちのチームづくり。一人の悩みにチームで挑戦

よるの談話室のテーマは「共感者集めと仲間づくり」。まちで何かをはじめようと思っても、一人でできることには限りがあります。今回は、合同会社ココスキ代表の坂本恵利子さんをゲストに、人とのつながりからいくつものグループやイベントが生まれてきた尼崎での体験をお話しいただきました。
会社勤めを経てライターとして活動していた坂本さん。出産後は仕事がこれまで通りできない不安や、フリーランスならではのプレッシャーを感じていたと言います。「子どもが熱を出したらどうしよう。一人だと代わりがいないという悩みがありました」と坂本さんは当時を振り返ります。
ビジネスプランコンテストや尼崎での様々な活動に積極的に参加するうちに、同じ悩みを持つデザイナーやフォトグラファーたちと出会うようになりました。「それぞれの悩みにチームで挑戦しよう」と、2017年にココスキという女性のクリエーターチームを結成しました。坂本さんが一人ずつ声をかけて集まったメンバーです。
あまがさきキューズモールで講座やイベントを企画したり、あままままるしぇというマーケットイベントを開催するなどその活動が市内に広がっています。2020年には合同会社として法人化。現在9名のメンバーと40人ほどのパートナーとともに、広報物制作やイベント運営を手がけています。
大きなテーマよりもまずは目の前の人との共感を

そんな彼女が仲間作りで大切にしていることは「信頼関係」だと言います。「そのためには自分の気持ちをきちんと伝えることが大事」と坂本さん。「女性の働き方改善」といった大枠のメッセージではなく、あくまでも目の前にいる仲間との共感を大切にしているのが印象的でした。
このテーマに関心を持った17名の参加者からは「仲間づくりのコツは?」「信頼する難しさは?」「関心のない層にどう届ければいいか」といった質問が寄せられました。すると坂本さんからは「実は30代の頃は女性グループって苦手だったんですよ。でも自分の好きなことやスタイルのあう人なら一緒にできたんです。だから自分の好きなことを伝えるのはとても大事だと思います」とアドバイスが。
「10年前には自分がイベントの運営をするなんて想像できなかった」とココスキでの出会いが坂本さん自身の可能性も広げてくれたことを振り返ります。「一人一人の可能性を信じたい」とメンバーの思いを丁寧に聞き取り、表現をサポートをするはたらきは、まさにライターという彼女の職能ならでは。

この日集まった中にも、何かはじめたくてうずうずしている人がちらほら。談話室終了後も立ち話に花が咲き、その後さらにまちに繰り出し、乾杯とともに第2ラウンドが繰り広げられたんだとか。
令和6年度のみんなの相談室は今回が最後です。令和7年度も相談室や談話室など、いろいろなイベントを企画していますので、ぜひご参加ください!