第42回みんなの尼崎大学オープンキャンパス「市場探訪」

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 2024年7月18日(木)に、第42回目のみんなの尼崎大学オープンキャンパス「市場探訪」を開催しました。今回の舞台となるのは、アマの食べ物の流通拠点である尼崎市公設地方卸売市場。「普段スーパーや小売店で手にとる食材、食べるものってどこからきてるの?」「尼崎と卸売市場の関係って?」といった食に関する疑問を解決すべく、大人から子どもまでの総勢25名で早朝のセリに潜入した模様をレポートします。

集合はせりに合わせて早朝6:10!


早朝から市場探訪スタート!

 イベント当日は、市場内が最も活発に動いている姿を見るべく、早朝6:10に集合です。みんなが集まったところで、今回のガイドをしていただく尼崎市公設地方卸売市場(経済観光局 地方卸売市場 市場管理課、以下同じ)の柏木さんから始まりの挨拶と注意事項をもらいます。


卸売市場について説明してくれている柏木さん

 「市場で働く人の邪魔にならないこと」「商品を勝手に触らないこと」といった、市場見学の心得をみんなで確認して、早速市場探訪がスタートです。

食べ物が集まり、動く卸売市場の舞台裏に潜入!


商品情報を読み上げるせり人(写真中央右の台上)

 まず最初に訪れたのは、集まった野菜が実際に動く近郷軟弱野菜(近郊から集まった収穫後すぐに鮮度が落ちやすい葉物などの野菜)のせり場です。せり場に並ぶのは、前日の夕方16時から夜19時に出荷された青果物。尼崎をはじめ伊丹や西宮など、周辺地域の農家さんから集められた野菜を順番にせりにかけ、今日の価格が決まっていきます。

 せりを取り仕切るのは、紺色の帽子を被った「せり人」と呼ばれる卸売業者さんです。商品の名前、入り数、出産者の屋号と言った情報をせり人の読み上げ、紺色帽子の仲卸業者や緑色帽子の市場外で小売店などの商売を営む売買参加者が値段を表示し、最高値を示した人が購入することとなります。


新鮮な野菜がズラッ!

 参加者は、せり場をぐるっと囲んで尼崎市公設地方卸売市場の職員たちの解説を聞きながら見学します。せり人の読み上げる情報を必死に聞き取ろうとしますが、あまりの口上の早さになかなか聞き取れません。

 せりにかけられている野菜は、季節だけでなく日によって良し悪しが違い、購入する仲卸業者さんは瞬時に見極めながらせりで表示する値段を決めるのだそう。


巨大冷蔵庫を前に興味津々

 せりの次にやってきたのは、冷凍野菜や海産物などの生鮮食品等を保存している大きな冷蔵庫です。冷蔵庫の中は、なんとマイナス20度に設定されているそうで、今回は特別に冷蔵庫内に入れてもらいます。

 映画に出てきそうな重厚な扉を抜けると、冷蔵庫内には約400種類の商品が積み上げられて壮観な光景です。でも参加者一同、冷蔵庫内のあまりの寒さに数分で冷蔵庫内から脱出。一回冷蔵庫内に入れば約3時間ずっと作業し続ける職員の方もいらっしゃるというのですから驚きです。

 冷蔵庫内の運搬作業は早朝2時から稼働し、ものの出入りは一日に15トンほどあるのだそう。商品の卸先はスーパーがほとんどで、個人商店へ卸す量は年々少なくなってきているのだといいます。


 ほかにも、取扱商品は、中国やベトナム産などの海外のものが多くなってきていること、魚丸ごと一匹と言った保存状態から三枚おろしなどの加工食品が増加していると言ったことも教えていただきました。

 そうした商品の移り変わりは、消費者の食の流行にかなり左右されるらしく、尼崎全体の冷蔵庫の役割を果たしているのだと感じます。


 最後に、青果部エリアと水産部エリアに分けられた仲卸店舗が立ち並ぶエリアを探索します。事業者の店舗ごとに区画があり、店前には野菜や果物、魚などたくさんの商品が陳列されています。

 店舗では、スーパーでは見ることのできないキハダマグロの丸々一本の姿や、モウカノホシ(サメの心臓)と言った珍しい商品も。


参加者の目の前でキハダマグロを解体してくれました!

 また、市場内の卸売業者が管理する巨大な生け簀も見学。これからお寿司屋さんに卸される魚をみんなで身を乗り出して中を覗き込むなど、終始貴重な体験をさせてもらいました。

お弁当を食べながら、今後の市場についてトーク


卸売市場について解説する川越さん

 施設内の見学が終わると会議室に移動して、みんなで朝ごはんのお弁当を食べながら、尼崎市公設地方卸売場に勤める川越さんにお話を伺います。

 「卸売市場ってなに?」「卸売市場の役割は?」「今後はなにを目指すの?」なんて疑問を川越さんにぶつけてみます。

 「卸売市場の役割は、一度食材を集めて流通をスムーズにすることです。スーパーや地元の飲食店、小売業者に食材を供給しながら、公正かつ安定して需給バランスを保つ役目をになっています。また、当施設でいえば、施設の老朽化に伴い、卸売市場全体のリニューアル計画を進めています。テーマは、”市民に愛され親しまれる市場へ”です。今後は、より地域の人々に親しまれるような市場を目指して整備していきます。」(川越さん)


 参加者からは、「尼魚を食べられる場所を作って欲しい」「卸売店舗って儲かるの?」「近所だけど初めて来られて嬉しかった」といった意見が寄せられ、アマの食流通を学ぶ旅はこれにて終了となりました。

 尼崎市公設地方卸売市場では、毎月第一土曜日に「市場開放フェア」を実施しています。尼崎の食卓に並ぶ食べ物が集まる出発点に、ぜひ一度足を運んでみてください。